令和6年度 健康保険法

令和6年度の健康保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。   

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問1】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問1A】

 全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、厚生労働大臣から事業年度ごとの業績について評価を受け、その評価の結果を公表しなければならない。

 

 

【令和6年問1B】

 任意継続被保険者は、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申し出た日の属する月の末日が到来するに至ったときは、その翌日から任意継続被保険者の資格を喪失する。

 

 

【令和6年問1C】

 一般労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1か月を経過した日のいずれか遅い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は被保険者資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではない。

 

 

【令和6年問1D】

 保険医療機関の指定の取消処分を受けた医療機関に関して、健康保険法第65条第3項第1号において、当該医療機関がその取消しの日から5年を経過しないものであるときは、保険医療機関の指定をしないことができるとされているが、当該医療機関の機能、事業の内容等を総合的に勘案し、地域医療の確保を図るため特に必要があると認められる場合であって、診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、2年を経過した期間保険診療を行わない場合については、取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる。 

 

 

【令和6年問1E】

 健康保険組合において、任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額が、当該被保険者の属する健康保険組合の全被保険者における前年度の9月30日の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額を超える場合は、規約で定めるところにより、資格喪失時の標準報酬月額をその者の標準報酬月額とすることができる。

 

 

 

○【問2】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問2A】(一部補正)【前年度の改正事項

 被保険者の総数が常時50人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がなされた場合、 1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2か月を超える雇用の見込みがあること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。

 

 

【令和6年問2B】

 保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。厚生労働大臣は、この指導をする場合において、常に厚生労働大臣が指定する診療又は調剤に関する学識経験者を立ち会わせなければならない。

 

 

 ・【令和6年問2C】

 国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担することになっており、健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。また、その国庫負担金は概算払いをすることができる。

 

 

【令和6年問2D】

 協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、厚生労働大臣が選任する会計監査人である公認会計士又は監査法人から監査を受けなければならない。

 

 

【令和6年問2E】 【直近の改正事項

 厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、健康保険法第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合から拠出金を徴収する。

 

 

 

○【問3】= 健康保険法に関する諸問題:【組み合わせ問題】

 

▶健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

 

【令和6年問3ア】

 健康保険組合が解散したとき、協会が健康保険組合の権利義務を承継する。健康保険組合が解散したときに未払い傷病手当金及びその他、付加給付等があれば、健康保険組合解散後においても支給される。しかし、解散後に引き続き発生した事由による傷病手当金の分については、組合員として受け取ることができる傷病手当金の請求権とは認められないので、協会に移管の場合は、これを協会への請求分として支給し、付加給付は認められない。

 

 

【令和6年問3イ】

 協会管掌健康保険の被保険者(被保険者であった者を含む。)で、家族出産育児一時金の支給を受けることが見込まれる場合、妊娠4か月以上の被扶養者を有する者が医療機関に一時的な支払いが必要になったときは、協会の出産費貸付制度を利用して出産費貸付金を受けることができる。

 

 

【令和6年問3ウ】

 適用事業所の事業主は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、健康保険法施行規則第22条の規定により申請する場合を除き、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項(事業主の氏名又は名称及び住所、事業所の名称及び所在地、適用事業所に該当しなくなった年月日及びその理由)を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。

 

 

【令和6年問3エ】

 特例退職被保険者の標準報酬月額については、健康保険法第41条から同法第44条までの規定にかかわらず、当該特定健康保険組合が管掌する前年(1月から3月までの標準報醐月額については、前々年)の9月30日における特例退職被保険者を含む全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額の範囲内においてその規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額となる。

 

 

【令和6年問3オ】

 協会は、 2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。 

 

 

A(アとイ) B(アとウ) C(イとエ) D(ウとオ) E(エとオ) 

 

 

 

 

○【問4】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問4A】

入院時の食事の提供に係る費用、特定長期入院被保険者に係る生活療養に係る費用、評価療養・患者申出療養・選定療養に係る費用、正常分娩及び単に経済的理由による人工妊娠中絶に係る費用は、療養の給付の対象とはならない。

 

 

【令和6年問4B】

 健康保険組合は、特定の保険医療機関と合意した場合には、自ら審査及び支払いに関する事務を行うことができ、また、この場合、健康保険組合は当該事務を社会保険診療報酬支払基金(以下本肢において「支払基金」という。)以外の事業者に委託することができるが、公費負担医療に係る診療報酬請求書の審査及び支払いに関する事務を行う場合には、その旨を支払基金に届け出なければならない。

 

 

【令和6年問4C】

 健康保険法第28条第1項に規定する健康保険組合による健全化計画は、同項の規定による指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3か年間の計画となり、事業及び財産の現状、財政の健全化の目標、その目標を達成するために必要な具体的措置及びこれに伴う収入支出の増減の見込額に関して記載しなければならない。

 

 

【令和6年問4D】

 健康保険組合は、毎年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

 

 

【令和6年問4E】

 被保険者(任意継続被保険者を除く。)の資格を喪失した日以後に傷病手当金の継続給付の規定により傷病手当金の支給を始める場合においては、その資格を喪失した日の前日において当該被保険者であった者が属していた保険者等により定められた直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を傷病手当金の額の算定の基礎に用いる。

 

 

 

○【問5】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問5A】

 保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、 6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。

 

 

【令和6年問5B】 【直近の改正事項

 匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。納付すべき手数料の額は、匿名診療等関連情報の提供に要する時間1時間までごとに4,350円である。

 

 

【令和6年問5C】

 徴収権の消滅時効の起算日は、保険料についてはその保険料の納期限の翌日、保険料以外の徴収金については徴収金を徴収すべき原因である事実の終わった日の翌日である。

 

 

【令和6年問5D】

 健康保険法第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第41条の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき、その違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられる。

 

 

【令和6年問5E】 【直近の改正事項

 適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得に関する事項を保険者等に届け出なければならない。この届出については、被保険者の住所等を記載した被保険者資格取得届を提出することによって行うこととされているが、当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、被保険者の住所は記載が不要である。

 

 

 

 

○【問6】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問6A】

 健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う健康保険組合が管掌する一般保険料率の変更においては、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長に委任することができる。

 

 

【令和6年問6B】

 協会の定款記載事項である事務所の所在地を変更する場合、厚生労働大臣の認可を受けなければその効力を生じない。

 

 

【令和6年問6C】

 被保険者(任意継続被保険者を除く。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は適用除外の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。この使用されるに至った日とは、事業主と被保険者との間において事実上の使用関係の発生した日ではない。

 

 

【令和6年問6D】(厚年法のパスワード)

 一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合の標準報酬月額の決定については、標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合、その休業手当等をもって報酬月額を算定して標準報酬月額を決定する。ただし、標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定する。

 

 

【令和6年問6E】

 保険者は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。全部又は一部という意味は、情状によって詐欺その他の不正行為により受けた分の一部であるという趣旨である。 

 

 

 

○【問7】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問7A】

 健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増減することができる。

 

 

【令和6年問7B】

 健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなくとも当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うことができる。

 

 

 ・【令和6年問7C】

 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないので、被保険者の死亡後においてその被保険者が請求権を有する傷病手当金又は療養の給付に代えて支給される療養費等は公法上の債権であるから相続権者が請求することはできない。

 

 

【令和6年問7D】 【直近の改正事項

 療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、被保険者であることの確認を受けて療養の給付を受ける。被保険者資格の確認方法の1つに、保険医療機関等が、過去に取得した療養又は指定訪間看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対して電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法がある。

 

 

【令和6年問7E】

 付加給付は、保険給付の一部であり、かつ法定給付に併せて行われるべきものであるから、法の目的に適いその趣旨に沿ったものでなければならない。法定給付期間を超えるもの、健康保険法の日的を逸脱するもの、又はこの制度で定める医療の内容又は医療の給付の範囲を超えるもの若しくは、保健施設的なものは廃止しなければならないが、家族療養費の付加給付は、特定の医療機関を受診した場合に限り認めることは差し支えない。

 

 

 

○【問8】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問8A】

 保険料及びその他健康保険法の規定による徴収金を滞納する者に対して督促をしたときは、裸険者は徴収金額に督促状の到達の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じて、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。

 

 

【令和6年問8B】

 被保険者が、妊娠6か月の身体をもって業務中に転倒強打して早産したときは、健康保険法に規定される保険事故として、出産育児一時金が支給される。

 

 

【令和6年問8C】

 厚生労働大臣は、国民保健の向上に資するため、匿名診療等関連情報の利用又は提供に係る規定により匿名診療等関連情報を大学その他の研究機関に提供しようとする場合には、あらかじめ、社会保障審議会の議を経て、承認を得なければならない。

 

 

【令和6年問8D】

 協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出て、その承認を得た後、それを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

 

 

【令和6年問8E】

 義手義足は、療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給されているが、症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用も療養費として支給することは認められる。

 

 

 

○【問9】= 保険医療機関等・指定訪問看護事業者の指定等に関する諸問題:【個数問題】

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 

【令和6年問9ア】

 厚生労働大臣により保険医療機関の指定を受けた病院及び病床を有する診療所は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失うが、その指定の効力を失う日前6か月から同日前3か月までの間に、別段の申出がないときは、保険医療機関の申請があったものとみなす。

 

 

【令和6年問9イ】

 厚生労働大臣による保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるときは、厚生労働大臣は保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができるが、厚生労働大臣は、指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。

 

 

【令和6年問9ウ】

 保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師若しくは歯科医師又は薬剤師(以下本肢において「保険医等」という。)でなければならない。当該登録の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失うが、その登録の効力を失う日前6か月から同日前3か月までの間に、別段の申出がないときは、保険医等の申請があったものとみなす。

 

 

【令和6年問9エ】

 指定訪問看護事業者の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、訪問看護事業を行う者の申請により、訪間看護事業を行う事業所ごとに行う。一方、指定訪問看護事業者以外の訪問看護事業を行う者について、介護保険法の規定による指定居宅サービス事業者の指定、指定地域密着型サービス事業者の指定又は指定介護予防サービス事業者の指定があったときは、その指定の際、当該訪問看護事業を行う者について、指定訪問看護事業者の指定があったものとみなす。

 

 

【令和6年問9オ】

 厚生労働大臣は、健康保険法第92条第2項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

 

 

A 1つ  B 2つ  C 3つ  D4つ  E 5つ

 

 

 

 

○【問10】= 健康保険法に関する諸問題:

 

▶健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問10A】

 被保険者甲(令和5年1月1日資格取得)は、出産予定日が令和6年1月10日であったが、実際の出産日は令和5年12月25日であったことから、出産日の前日まで引き続き1年以上の被保険者期間がなかった。これにより、被保険者の資格を取得してから1年を経過した日から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。

 

 

【令和6年問10B】

 独立して生計を営む子が、健康保険法の適用を受けない事業所に勤務していた間に、疾病のため失業し被保険者である父に扶養されるに至った場合、扶養の事実は保険事故発生当時の状況によって被扶養者となるかを決定すべきであるから、被扶養者となることはできない。

 

 

【令和6年問10C】

 被保険者乙の配偶者が令和5年8月8日に双生児を出産したことから、被保険者乙は令和5年10月1日から令和5年12月31日まで育児休業を取得した。この場合、令和6年1月分の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

 

 

【令和6年問10D】

 被保険者丙は令和6年1月1日に週3日午前9時から午後1時まで勤務のパートタイムスタッフとして社員数30名の会社(正社員は週5日午前9時始業、午後6時終業、途中で1時間の昼休憩あり)に入社した。その後、雇用契約の見直しが行われ、令和6年4月15日付けで週4日午前9時から午後6時まで(途中で1時間の昼休憩あり)の勤務形態に変更となったため、被保険者資格取得届の提出が行われ、令和6年4月15日から健康保険の被保険者となった。

 

 

【令和6年問10E】

 健康保険法に定める特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、労働組合がない場合であっても、当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される2分の1以上同意対象者の過半数を代表する者の同意又は2分の1以上同意対象者の2分の1以上の同意を得ることによって、保険者等に当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者について一般の被保険者とは異なる短時間被保険者の資格取得の申出をすることができる。

 

 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 保険外併用療養費の支給対象となる治験は、 、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としない。

 

 

2 任意継続被保険者がその資格を喪失した後、出産育児一時金の支給を受けることができるのは、任意継続被保険者の  であった者であって、実際の出産日が被保険者の資格を喪失した日後6か月以内の期間でなければならない。

 

 

3 健康保険法第111条の規定によると、被保険者の  が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪間看護に要した費用について、  を支給する。

  の額は、当該指定訪間看護につき厚生労働大臣の定めの例により算定した費用の額に  の給付割合を乗じて得た額(  の支給について  の額の特例が適用されるべきときは、当該規定が適用されたものとした場合の額)とする。

 

選択肢:

 

①3親等内の親族  

 

②新たな医療技術、医薬品、医療機器等によるものであることから

 

③家族訪問看護療養費 ④家族療養費

 

⑤患者に対する情報提供を前提として ⑥高額介護合算療養費

 

⑦高額介護サービス費 ⑧高額療養費

 

⑨困難な病気と闘う患者からの申し出を起点として

 

⑩資格を取得した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)

 

⑪資格を取得した日の前日まで引き続き6か月以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)

 

⑫資格を喪夫した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を含む。)

 

⑬資格を喪失した日の前日まで引き続き6か月以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)

 

⑭認定対象者 ⑮被扶養者

 

⑯扶養者 ⑰訪問看護療養費

 

⑱保険医療機関が厚生労働大臣の定める施設基準に適合するとともに

 

⑲保険外併用療養費 ⑳療養費

 

 

 

 

選択式解答

A=⑤「患者に対する情報提供を前提として」(【平成18.9.29保医発第0929002号】)

 

B=⑩「資格を取得した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)」(第106条

 

C=⑮「被扶養者」(第111条第1項

 

D=③「家族訪問看護療養費」(同上)

 

E=④「家族療養費」(第111条第2項

 

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1(空欄のA)

 

選択式の問1(空欄のA。こちら)は、保険外併用療養費の「治験」の通達に関する出題であり、当サイトではこちら(健保法のパスワード)で掲載しています。

平成17年度の択一式で出題されていました(【平成17年問8B(こちら】)。

本問のような情報は、一度、過去問を解いたことがあると、結構記憶に残るものです。

20年ほど前の過去問を解くというのは、時間的制約から、実際的ではありませんが、テキストにおいて、過去の過去問から重要事項を抽出してある必要があり、テキストを反復学習することによって記憶を確かにして頂くことになります。

 

 

 

〔2〕問2(空欄のB)

 

問2(空欄のB。こちら)は、任継続被保険者の資格喪失後の出産育児一時金に関する出題であり、かなり細かく難所です。

当サイトでは、こちらで図解入りで詳述していました。

 

選択肢(⑩~⑬)を見ますと、1年以上被保険者であったことの要件について、(ⅰ)資格を「取得した日」の前日までなのか、「喪失した日」の前日までなのかという点と、(ⅱ)「任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者」も「含むのかどうか」という点が論点となっていることがわかります。

 

前者の(ⅰ)については、前掲のリンク先(こちら)の下部の図のように、任意継続被保険者の資格を「取得した日」の前日までとなります。任意継続被保険者の「喪失した日」の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者であることとしては、上記の(ⅱ)でさらに任意継続被保険者を含むかどうかを問題とすることになって、かなり不自然であることから、正解を導き出せる可能性があります。

 

本問についても、当サイトで学習された方は、図解入りで詳細な説明をしていたため、記憶に残っていた可能性があります。

 

 

 

〔3〕問3(空欄のC~E)

 

問3(空欄のC~E。こちら)は、家族訪問看護療養費に関する出題です。

家族訪問看護療養費については、出題が少なく、出題された場合は、「受給権者は、被扶養者ではなく被保険者である」という論点に集中していたのですが、今回は選択式でやや異なる論点が出題されました。

 

本問がそもそも家族訪問看護療養費に関する出題であることを把握する必要がありますが、通常は、「健康保険法第111条」という条番号は覚えていないため、設問全体から把握することになります(条番号が大きいため、「後ろの方の保険給付」であることは想像ができます)。

訪問看護関係の給付であることは問題文からわかりますが、「被保険者に対し、・・・支給する」とあることから、家族給付であることも判明します。

従って、空欄のCは、⑮「被扶養者」となり、Dは③「家族訪問看護療養費」です。

 

Eの支給割合については少々紛らわしいですが、当サイトのこちら以下を読んでおられたら、さほど問題なく正答することができます。

 

以上、健保法の選択式は、空欄Bは厳しかった可能性がありますが、その他の4つから3つを正解することが期待できます。

当サイトで学習されていた方にとっては、取り組みやすい内容でした。

 

ただし、実際の平均点は2.5点であり(前年度は3.4点)、難しいと感じた受験者の方が多かったといえます。

 

 

 

総評

選択式については、上記の通り、客観的には難しい問題であったと思われます。

 

択一式については、かなり厳しく(特に前半)、本試験会場では、基準点の4点を上回ることができるように、捨て問をうまく作る必要がありました。

平均点も3.8点(前回4.7点)であり、4点を下回っています(今回の択一式の中で、最も平均点が低かったです)。

択一式について、若干ポイント見ますと次の通りです。 

 

【問1】(こちら)は、厳しいです。肢のA~Dは、細かい箇所を論点としており、「ひっかけ問題」の様相を呈しています。肢のEは、前々年度の改正事項であり、初出題であること、例外的な取扱いに関する箇所であることもあって、正確な記憶が必要でした。

また、この【問1】は、いきなり文章も長めのものが多く、択一式後半に取り組む意欲を削ぐような形式・内容となっています。

 

【問2】(こちら)も、相当厳しいです。

ただし、肢のB(こちら)は、「常に・・・立ち会わせなければならない」というかなり「臭う」言い回しになっています。

 

肢のA(こちら)について、「2か月を超える雇用の見込みがあること」は、令和4年10月1日施行の改正事項ですが(従来は「1年以上の雇用の見込み」(要旨))、短時間労働者に特有の適用除外事由のみに集中してしまうと、一般の適用除外事由を忘れかねない点に注意です。

肢のE(こちら)の「流行初期医療確保拠出金等」は、直近の改正事項です。

C~Eも、正面から取り組むと、かなり厳しいです。

 

 

【問3】(こちら)も、比較的判断しやすい肢はウ(こちら)のみといえ、厳しいです。

肢のエ(こちら)やオ(こちら)は、通常どのテキストにも記載されている知識ですが、細かい箇所が論点とされています。

ただし、組み合わせ問題であるため、消去法等を用いて結果的には正解に達することは可能でした。

 

【問4】(こちら)は、Bが非常に難しく、C~Eは数字を正確に記憶しておくことが必要な内容です。

 肢のA(こちら)は、論点自体は過去問も頻出の基本的なものですが、多くの論点が詰め込まれています。

B(こちら)は、当サイトでも記載がなく、非常に難しいです。

C(こちら)の数字の部分は、指定健康保険組合・健全化計画の典型論点であり、平成25年度の選択式でも出題されています。

 D(こちら)も、過去問で複数回出題の箇所です。

E(こちら)は、平成28年の改正後、初めての出題となりました。

 

 

【問5】(こちら)は、肢のB(こちら)とEが直近の改正事項ですが、B(こちら)を正答することは困難です。D(こちら)を正答することも難しく、改正事項であるE(こちら)を押さえていたかどうかにかかります。

 

肢のA(こちら)は、「偽りその他不正行為による給付制限」に関する典型論点であり、過去問も頻出です。本肢のような数字を記憶していたかどうかが、合否の分かれ目となることがあります。

 

B(こちら)は、匿名診療等関連情報利用者が納付すべき手数料の額が問われていますが、厳しいです。当サイトは、条文中に掲載していましたが、出題は予想していませんでした。

 

C(こちら)は、得点しやすい内容です。

 

D(こちら)の第213条の2第2号についても、令和6年1月1日施行の改正により、内容面には大きな影響はありませんが、文言の整理程度の改正が行われています。

 

E(こちら)については、当サイトでは、「改正・最新判例(令和6年度版)」でも整理していました(こちらの(1)。「改正・最新判例」のパスワード)。

 

 

【問6】(こちら)は、やや細かい知識が問われた肢もありますが、正解肢は典型論点であり、過去問も多いため、正答できました。

 

【問7】(こちら)は、肢のA~Cは、通常の学習で押さえておく必要があり、Eはかなり細かく判断が難しいですが、正解肢が直近の改正事項からの出題であり、正解することが望まれます。

 

【問8】(こちら)は、肢のC(こちら)とD(こちら)は難しいですが、その他は過去問もある典型論点であり、正解したいところです。

 

【問9】(こちら)は、保険医療機関等・指定訪問看護事業者の指定等に関する問題です。

個々の肢は、過去問があるなど基本的な内容が多いのですが、やや細かい箇所を論点としていること、個数問題であることから、結果的には正答が結構厳しいことになります。

 

【問10】(こちら)は、やや事例風の肢がいくつかあり、時間がかかる恐れもありますが、それほど難しいわけではありません。

 

 

なお、択一式において、直近の改正事項から4肢出題されています(前年度の改正事項から1肢出題です)。

健保法をはじめとする社会保険法では、直近の改正事項やここ数年の改正事項から出題されることが少なくなく、近年の改正事項については注意です。