令和6年度 厚生年金保険法
令和6年度の厚生年金保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 不服申立てに関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
厚生労働大臣による被保険者の資格に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
厚生労働大臣による保険料の賦課の処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
第1号厚生年金被保険者が厚生年金保険原簿の訂正請求をしたが、厚生労働大臣が訂正をしない旨を決定した場合、当該被保険者が当該処分に不服がある場合は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定した場合でも、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができる。
○【問2】= 強制徴収の手続等に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
甲は第1厚生年金被保険者期間を140か月有していたが、後に第2号厚生年金被保険者期間を150か月有するに至り、それぞれの被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が同じ日に発生した(これら以外の被保険者期間は有していない。)。甲について加給年金額の加算の対象となる配偶者がいる場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。
厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われたときは、原則として延滞金が徴収されるが、納付義務者の住所及び居所がともに明らかでないため公示送達の方法によって督促したときは、延滞金は徴収されない。
厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われた場合において、督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は厚生年金保険法第87条第1項から第3項までの規定によって計算した金額が1,000円未満であるときは、延滞金は徴収しない。
保険料の納付の督促を受けた納付義務者がその指定の期限までに保険料を納付しないときは、厚生労働大臣は、自ら国税滞納処分の例によってこれを処分することができるほか、納付義務者の居住地等の市町村(特別区を含む。以下本肢において同じ。)に対して市町村税の例による処分を請求することもできる。後者の場合、厚生労働大臣は徴収金の100分の5に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
滞納処分等を行う徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する日本年金機構の職員のうちから厚生労働大臣が任命する。
○【問3】= 厚生年金保険法に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下本肢において同じ。)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払いが行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払いとみなすことができる。
適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)は、厚生年金保険法第9条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て被保険者となることができる。
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により地方公共団体情報システム機構が保存する本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)は、その住所を変更したときは、所定の事項を記載した届書を10日以内に日本年金機構に提出しなければならない。
甲は、令和6年5月1日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、同月15日にその資格を喪失し、同日、国民年金の第1号被保険者の資格を取得した。この場合、同年5月分については、 1か月として厚生年金保険における被保険者期間に算入する。
厚生年金保険法第28条によれば、実施機関は、被保険者に関する原簿備え、これに所定の事項を記録しなければならないとされるが、この規定は第2号厚生年金被保険者についても適用される。
○【問4】= 老齢厚生年金の支給の繰下げに関する問題:【個数問題】
▶次の記述のうち、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができないものはいくつあるか。
なお、いずれも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出に係るその他の条件を満たしているものとする。
老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金の受給権者であった者。
老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族厚生年金の受給権者であった者。
老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金の受給権者であった者。
老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者。
老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族基礎年金の受給権者であった者。
A 1つ B 2つ C 3つ D 4つ E 5つ
○【問5】= 遺族厚生年金に関する問題:【組み合わせ問題】
▶遺族厚生年金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
なお、本間では、遺族厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。
死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。
厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。
厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。
夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。
繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。
A(アとイ) B(アとウ) C(イとエ) D(ウとオ) E(エとオ)
○【問6】= 厚生年金保険に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
特定適用事業所で使用されている甲(所定内賃金が月額88,000円以上、かつ、学生ではない。)は、雇用契約書で定められた所定労働時間が週20時間未満である。しかし、業務の都合によって、2か月連続で実際の労働時間が週20時間以上となっている。引き続き同様の状態が続くと見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3か月目の初日に、甲は厚生年金保険の被保険者資格を取得する。
第1号厚生年金被保険者が、2か所の適用事業所(管轄の年金事務所が異なる適用事業所)に同時に使用されることになった場合は、その者に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。
この選択に関する届出は、被保険者が選択した適用事業所の事業主が、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出することとされている。
老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額を計算する際に、総報酬制導入以後の被保険者期間分については、平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数で計算する。この給付乗率は原則として1000分の5.481であるが、昭和36年4月1日以前に生まれた者については、異なる数値が用いられる。
届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合は、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることから、届出による婚姻関係が優先される。そのため、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときでも、内縁関係にある者が事実婚関係にある者として認定されることはない。
厚生年金保険法第47条の2に規定される事後重症による障害厚生年金は、その支給が決定した場合、請求者が障害等級に該当する障害の状態に至ったと推定される日の属する月の翌月まで遡って支給される。
○【問7】= 厚生年金保険に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、政令によって読み替えて法の規定を適用することとされており、変更前の最高等級である第31級の上に第32級が追加された。第32級の標準報酬月額は65万円である。
厚生年金保険法第22条によれば、実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。
事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。高齢任意加入被保険者の場合は、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うことがあるが、その場合も、保険料の納期限は翌月末日である。
厚生労働大臣は、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、滞納者に対する滞納処分等の権限の全部又は一部を財務大臣に委任することができる。この権限委任をすることができる要件のひとつは、納付義務者が1年以上の保険料を滞納していることである。
産前産後体業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担分及び被保険者負担分の両方が免除される。
○【問8】= 厚生年金保険に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料事に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。
遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。
加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。
未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。
離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。
○【問9】= 厚生年金保険に関する問題:
▶厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の場合、厚生年金保険法附則第8条の規定により支給される特別支給の老齢厚生年金の支給要件のうち「1年以上の被保険者期間を有すること」については、その者の2以上の種別の被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算することはできない。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額は、その者の2以上の種別の被保険者であった期間を合算して1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出し計算することとされている。
第1号厚生年金被保険者として在職中である者が、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得したとき、第1号厚生年金被保険者としての期間が44年以上である場合は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用となり、その者の特別支給の老齢厚生年金に定額部分が加算される。
65歳以上の被保険者で老齢厚生年金の受給権者が離職し、雇用保険法に基づく高年齢求職者給付金を受給した場合は、当該高年齢求職者給付金に一定の率を乗じて得た額に相当する部分の老齢厚生年金の支給が停止される。
65歳以後の在職老齢年金の仕組みにおいて、在職中であり、被保険者である老齢厚生年金の受給権者が、66歳以降に繰下げの申出を行った場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とはならない。
○【問10】= 厚生年金保険に関する問題:【組み合わせ問題】
▶厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
厚生年金保険の被保険者であった18歳のときに初診日のある傷病について、その障害認定日において障害等級3級の障害の状態にある場合にその者が20歳未満のときは、障害厚生年金の受給権は20歳に達したときに発生する。
障害手当金は、疾病にかかり又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であった者が、保険料納付要件を満たし、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間にまだその傷病が治っておらず治療中の場合でも、5年を経過した日に政令で定める程度の障害の状態にあるときは支給される。
年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その金額の支給を停止することとされている。ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
現在55歳の自営業者の甲は、20歳から5年間会社に勤めていたので、厚生年金保険の被保険者期間が5年あり、この他の期間はすべて国民年金の第1号被保険者期間で保険料はすべて納付済みとなっている。もし、甲が現時点で死亡した場合、一定要件を満たす遺族に支給される遺族厚生年金の額は、厚生年金保険の被保険者期間を300月として計算した額となる。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る脱退一時金については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有する者に係るものとみなして支給要件を判定する。
A(アとイ) B(アとウ) C(イとエ) D(ウとオ) E(エとオ)
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 厚生年金保険法第80条第2項の規定によると、国庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む。)の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)に要する A を負担するものとされている。
2 実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定するが、当該標準賞与額が B (標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは政令で定める額)を超えるときは、これを B とする。
3 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、 C を受ける権利を国税滞納処分により差し押える場合は、この限りでない。
4 厚生年金保険法第58条第1項第2号の規定により、厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により D を経過する日前に死亡したときは、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。ただし、死亡した者が遺族厚生年金に係る保険料納付要件を満たしていない場合は、この限りでない。
5 甲(66歳)は35歳のときに障害等級3級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級3級の障害厚生年金の受給を開始した。その後も障害の程度に変化はなく、また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が障害等級3級の障害厚生年金の年金額を下回るため、65歳以降も障害厚生年金を受給している。一方、乙(66歳)は35歳のときに障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金の受給を開始した。しかし、40歳時点で障害の程度が軽減し、障害等級3級の障害厚生年金を受給することになった。その後、障害の程度に変化はないが、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給している。今後、甲と乙の障害の程度が増進した場合、障害年金の額の改定請求は、 E 。
選択肢:
①100万円 ②150万円 ③200万円 ④250万円
⑤遺族厚生年金 ⑥甲のみが行うことができる ⑦甲も乙も行うことができない ⑧甲も乙も行うことができる ⑨乙のみが行うことができる ⑩障害厚生年金 ⑪障害手当金
⑫脱退一時金 ⑬当該初診日から起算して3年 ⑭当該初診日から起算して5年 ⑮被保険者の資格を喪失した日から起算して3年 ⑯被保険者の資格を喪失した日から起算して5年
⑰費用 ⑱費用の2分の1 ⑲費用の3分の1 ⑳費用の4分の3
選択式解答
A=⑰「費用」(第80条第2項)
B=②「150万円」(第24条の4第1項後段)
C=⑫「脱退一時金」(施行令第14条)
D=⑭「当該初診日から起算して5年」(第58条第1項第2号)
E=⑨「乙のみが行うことができる」(第52条第7項)
選択式の論点とリンク先
〔1〕問1(空欄のA)
問1(空欄のA。こちら)は、「国庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務・・・の執行・・・に要する『A』を負担する」というものです。
従って、事務費の国庫負担の問題であることがわかります。
空欄のAには、「費用」が入ります(第80条第2項)。
事務費の負担については、他の法においても同様ですが、「費用の2分の1等」とはならず、「予算の範囲内で負担する」という形になります(事務費はさほど高額ではなく、かつほぼ一定であることが考慮されているのでしょう)。
当サイトは、こちらです。
〔3〕問3(空欄のC)
問3(空欄のC。こちら)は、保険給付を受ける権利の譲渡、担保供与及び差押え禁止の例外に関する出題です(受給権の保護。こちら以下)。
この例外は、老齢厚生年金、脱退一時金、脱退手当金及び特例老齢年金について、国税滞納処分による差押えの対象となるというものです。
本問では、空欄Cに入るものとして、選択肢から「老齢厚生年金」を探してもないため、「脱退一時金」を選ぶことになります。
本問も、易しいです。
〔4〕問4(空欄のD)
問4(空欄のD。こちら)は、遺族厚生年金の支給要件(死亡者の要件)のうち、「資格喪失後5年前の死亡」のケースです。
当サイトでは、ゴロで押さえており(こちら)、内容についてはこちらの図をご参照下さい。
択一式の過去問も多く、押さえておくべき知識でした。
〔5〕問5(空欄のE)
問5(空欄のE。こちら)は、65歳以上の者であって、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(一度でも2級以上に該当したことのある者は除きます)については、65歳以上になってから障害等級が3級から2級以上に増進しても、障害厚生年金の年金額の改定は行われない」という論点です(こちら)。
事後重症とのバランスを考慮したものです。
過去問頻出の典型論点です。詳細は、前掲のリンク先をご覧下さい。
総評
選択式は、通常の学習によって基準点を超えることはできそうな内容でした。
平均点も3.1点です(前年度2.5点)。
択一式は、今年度は平易なほうでした。平均点は4.6点で、前年度の3.9点から上がっています。
令和3年度辺りから、国年法の択一式の難易度が下がり、代わりに厚年法の択一式の難易度がやや上がってきている傾向にあり、事例系の問題についても、国年法より厚年法で増えてきている様子がありましたが、今回は、さほど問題はない内容でした。
【問1】(こちら)は、不服申立てに関する出題ですが、いずれの肢も過去問の出題歴があり、通常の学習によりカバーできます。
【問2】(こちら)は、肢のE(こちら)は細かいですが、解答自体は見つけやすいです。
【問3】(こちら)は、肢のC~Eはやや微妙な方もおられるかもしれませんが、C・Dは過去に出題歴があります。
Eは、当サイトでは詳述していました。
【問4】(こちら)は、「支給繰下げの申出をすることができない場合」という基本的知識が問われているものですが、個数問題であるため、やや微妙です。
【問5】(こちら)は、事例風の長めの設問が多いですが、肢のイとオを処理できたかがポイントでした。
【問6】(こちら)は、肢のA(こちら)が細かく、その他の肢もやや微妙なものもありますが、消去法により正解したいところです。
肢のD(国年法のこちら)については、関連問題が国年法の【国年法 平成25年問4D(こちら)】で出題されたことがあります。
【問7】(こちら)は、肢のD(こちら)の数字について、令和元年度の選択式(「24か月分以上及び5千万円以上」。こちら)等で出題されているため、この数字さえ押さえていれば容易でした。
【問8】(こちら)は、各肢簡単なわけではありませんが、正解肢は見つけやすいです。
【問9】(こちら)は、各肢とも過去問で問われており、通常の学習でカバーできる範囲内です。
【問10】(こちら)も、各肢ともそれほど難しくなく、正答が望まれます。
国年法・厚年法ともに、まずは基本的事項を理解して支給要件等を思い出せるようにして土台を作り、そのうえで事例問題について多少訓練をしておかれるとよろしいです。
選択式対策として、法本則(及びいくつかの附則)の重要条文については熟読し、数字とキーワードを押さえる必要があります。
特別な学習方法があるわけではなく、地道な学習を淡々と行うことが最も合格への最短距離であるということになります。