平成29年度(国民年金法)
平成29年度の国民年金法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】=被保険者の届出等に関する諸問題:
(被扶養配偶者が20歳に達し第3号被保険者となったときの届出の要否)
(第2号被保険者を使用する事業主が、被扶養者である第3号被保険者の届出に係る事務を委託できる者)
(第2号厚生年金被保険者の資格喪失後引き続き第3号被保険者の資格を取得した場合の配偶者の種別確認の届出の要否)
(第1号被保険者の属する世帯の世帯主の当該被保険者に係る届出の代行の可否)
(第3号被保険者に係る資格取得の届出が遅滞した場合に3号特例届をしたときの保険料納付済期間に算入される期間(事例問題))
○【問2】=国民年金法に関する諸問題:(正しいものの組み合わせ問題)
(配偶者に支給する遺族基礎年金は、当該配偶者が、死亡者によって生計維持されていなかった10歳の子と養子縁組をしたときは、年金額が改定されるか)
(冬山の登山中に行方不明となり生死が3か月不分明な場合に死亡が推定されるか)
(死亡した被保険者について、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料が未納の月があったとしても、保険料納付済期間を25年以上有していたときは、遺族基礎年金受給権が発生するか。翌年度試験 改正事項)
(厚生労働大臣による障害程度の診査により障害基礎年金の額を改定することができるのは、当該受給権者が65歳未満の場合に限られるか)
(被保険者であった者が60歳以上65歳未満の間に初診日がある場合であって国内に住所を有しないときは、障害基礎年金が支給されることはないか)
○【問3】=任意加入被保険者及び特例による任意加入被保険者の資格の取得及び喪失に関する問題:
(日本国内に住所を有しない特例による任意加入被保険者が日本国籍を有しなくなった場合の資格喪失時期)
(日本国内に住所を有する特例による任意加入被保険者が日本国内に住所を有しなくなった場合の資格喪失時期)
(日本国籍を有する日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の任意加入被保険者が、厚生年金保険の被保険者の資格を取得した場合の資格喪失時期)
(日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の特例による任意加入被保険者が、保険料を滞納し2年間経過した場合はその翌日に資格を喪失するか)
(日本国籍を有する日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者が任意加入被保険者の資格取得の申出をした場合の資格の取得時期)
○【問4】=保険料に関する問題:
(前納期間の途中に第2号被保険者となった場合の保険料の還付の可否)
(法定免除の該当者のうち、障害基礎年金の受給権者又は生活保護法による生活扶助を受けている者は、保険料の納付の申出を行えるか)
(保険料の半額免除を受けている者は、付加保険料を納付できるか)
(全額免除要件該当被保険者等が、指定全額免除申請事務取扱者に全額免除申請の委託したときの全額免除申請があったものとみなされる時期。前年度試験 改正事項)
(保険料の一部免除を受けた者は、残余の額につき納付していないときは、追納を行うことができないか)
○【問5】=国民年金基金に関する問題:
(日本国籍を有し、国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、地域型国民年金基金の加入員となることができないか。改正事項)
(基金が徴収する掛金の額は、原則として、1か月につき68,000円を超えることができないか)
・【平成29年 問5C】(基金が支給する年金を受ける権利を裁定する者)
(基金の加入員が第2号被保険者となった場合の加入員の資格喪失時期)
(基金の加入員が農業者年金の被保険者となった場合の資格喪失時期)
○【問6】=国民年金法に関する問題:
(精神の障害は、障害基礎年金の対象となる障害に該当するか)
(年金給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ提起できないか)
(老齢基礎年金の繰上げ支給の請求があった場合、その請求のあった日の属する月の分から支給されるか)
(付加保険料納付済期間を有する者が老齢基礎年金の支給繰下げの申出を行ったときは、付加年金についても増額されて繰り下げられるか)
(64歳に達した日の属する月に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合、当該年金額は、65歳から受給する場合に比べて8.4%減額されるか)
○【問7】=国民年金法に関する問題:
(付加保険料納付済期間が3年以上である者が死亡した場合の死亡一時金の額には、8,500円が加算されるか)
(学生納付特例の期間及び納付猶予の期間については、追納されていなければ、老齢基礎年金の額に反映されないか。改正事項)
(特定事由により全額免除の申請ができなかった旨の申出が承認され、当該期間が指定全額免除期間とみなされたときは、老齢基礎年金の年金額は、当該申出のあった日の属する月の翌月から改定されるか。前年度試験 改正事項)
(基準障害による障害基礎年金は、その請求を65歳に達した日以後に行うことはできないか)
(65歳以上の者が受給権を有する障害基礎年金、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の併給の関係)
○【問8】=国民年金法に関する問題:
(申出により支給停止されていた老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合、死亡一時金は支給されるか)
(繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者に寡婦年金は支給されるか)
(脱退一時金の支給要件としての保険料納付済期間等の月数:保険料納付済期間が3か月、半額免除期間が6か月のケース)
(遺族基礎年金の受給権者となった妻に寡婦年金が支給されることはないか)
(寡婦年金及び付加年金の額は、毎年度、老齢基礎年金と同様の改定率により改定されるか)
○【問9】=国民年金の給付に関する問題:
(老齢基礎年金の受給権者が平成29年2月27日に死亡した場合、未支給年金請求権者は、同年1月分と2月分の年金を未支給年金として請求できるか(死亡日前の直近の年金支払日において未払の年金はないとする))
(65歳以上の者は、障害等級3級の障害厚生年金と老齢厚生年金の併給を受けることができるか)
(夫が死亡した月の翌月以降の分として、妻に老齢基礎年金の過誤払が行われた場合は、妻に支払う老齢基礎年金の金額により充当することができるか)
(子の2人が受給している遺族基礎年金について、その一人の婚姻により受給権が消滅したのに、引き続き婚姻前と同額の遺族基礎年金が支払われた場合、他方の子が受給する遺族基礎年金の金額により充当することができるか)
(老齢基礎年金の受給資格を満たしたが裁定を受けていなかった68歳の夫が死亡した場合、妻が未支給年金として受給できるのは、夫が65歳に達した日の属する月の翌月分から死亡月の分までか)
○【問10】=被保険者等に関する問題:
・【平成29年 問10A】(60歳の国内居住の者の任意加入被保険者の該当性)
(死亡による資格喪失時期と被保険者期間及び保険料の納付すべき期間)
(20歳未満の厚生年金保険の被保険者は、第2号被保険者となるか)
(資格取得月に資格を喪失した場合(同月得喪)の被保険者期間への算入の可否)
・【平成29年 問10E】(国外居住の任意加入被保険者に係る諸手続を行う者)
以上、択一式でした。
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 国民年金法第90条の2第2項第1号及び国民年金法施行令第6条の9の規定によると、申請により保険料の半額を納付することを要しないこととできる所得の基準は、被保険者、配偶者及び世帯主について、当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については、前々年の所得とする。)が A〔※ 令和3年4月1日施行の改正あり〕 に扶養親族等1人につき B を加算した額以下のときとされている。
なお、本間における扶養親族等は、所得税法に規定する老人控除対象配偶者若しくは老人扶養親族又は特定扶養親族等ではないものとする。
2 国民年金法第49条では、寡婦年金は、一定の保険料の納付の要件を満たした夫が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が10年以上継続した一定の妻があるときに支給されるが、死亡した夫が C〔※ 令和3年4月1日施行の改正あり〕 は支給されないことが規定されている。
夫が死亡した当時53歳であった妻に支給する寡婦年金は、 D から、その支給を始める。
3 国民年金法第107条第1項では、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の E その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停上に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができると規定している。
選択肢:
①22万円 ②35万円 ③38万円 ④48万円 ⑤78万円 ⑥118万円 ⑦125万円 ⑧158万円
⑨遺族基礎年金の受給権者であったことがあるとき、又は老齢基礎年金の支給を受けていたとき
⑩夫が死亡した日の属する月の翌月
⑪資産若しくは収入の状態
⑫障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき、又は老齢基礎年金の支給を受けていたとき
⑬障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき、又は老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていたとき
⑭障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき、又は老齢厚生年金の支給を受けていたとき
⑮妻が55歳に達した日の属する月の翌月
⑯妻が60歳に達した日の属する月の翌月
⑰妻が65歳に達した日の属する月の翌月
⑱届出事項の変更若しくは受給資格の変更
⑲被扶養者の状況、生計維持関係 ⑳身分関係、障害の状態
選択式解答
A=⑦118万円〔※ 令和3年4月1日施行の改正により、現在は、「128万円」が正しいです。施行令第6条の9〕
B=③38万円(施行令第6条の9)
C=⑫障害基礎年金の受給権者であったことがあるとき、又は老齢基礎年金の支給を受けていたとき
〔※ 令和3年4月1日施行の改正により、現在は、「老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがあるとき」が正しいです(第49条第1項ただし書)。〕
D=⑯妻が60歳に達した日の属する月の翌月(第49条第3項)
E=⑳身分関係、障害の状態(第107条第1項)
選択式解説
(1)A及びBは、半額免除の所得の要件の問題でした。覚えておかなければならない事項であり、当サイトも、ゴロ合わせと表によりマークしていました。こちら以下の表・ゴロ合わせとこちら以下の説明をご参照下さい。
(2)C及びDは、寡婦年金からです。
Cは、寡婦年金の支給要件の問題であり(第49条第1項)、こちら以下をご参照下さい。
Dは、寡婦年金の支給の開始時期の問題であり、こちら以下をご参照下さい。
(3)Eは、受給権者に関する調査(第107条第1項)からの出題でした。
当サイトでは、常々、第106条以下の「行政庁の調査等」に関する規定を選択式において警戒していたのですが(こちら以下)、かなり厳しい個所が出題されました。
今回の選択式において、上記の(1)につき、万が一、この保険料免除における所得の要件を忘れていますと、AとBの両者を正答できないおそれがあります。
そうなりますと、(2)のC及びDを必ず正解したうえで、(3)のEも正答する必要が生じ、窮地に陥りかねません。
従って、(1)のAとBは、是が非でも覚えておかなければならなかったことになります。
社労士試験において、基本的な数字を記憶することの重要性を改めて認識させる出題でした。
総評
近年の国年法の択一式は、内容的に難しく、また、時間がかかる長文事例問題が多かったりしたため、厄介な科目だったのですが、今回は、解答しやすい問題が多かったです。
今回は、任意加入被保険者や第1号被保険者の独自給付(付加年金、寡婦年金、死亡一時金)についての出題が目立ちました。
直近の改正事項については、あまり出題がありませんでした(実質的には、任意加入被保険者の基金への加入に関する改正の【問5A】の1肢だったといえます)。
ただし、前年度試験分の改正事項が2肢出題されており、「指定全額免除申請事務取扱者(免除委託制度)」の【問4D】と「特定事由に係る保険料の納付等の特例」の【問7C】です。後者の特例は難解であり、「出題されると嫌な個所」だったのですが、今回は、さほどややこしい個所ではありませんでした。今後は、本制度の他の個所も含め、選択式も視野に入れてキーワードに注意しておく必要があります。
今回の国年法は、選択式が最大のポイントだったといえます。日頃の地道な学習の積み上げが重要です。
【平成29年10月12日】