令和6年度 労働保険徴収法
令和6年度(2024年度)の労働保険徴収法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
※ 徴収法の択一式は、労災保険法の問8から問10、雇用保険法の問8から問10の合計6問出題されます。
まず、労災保険法における出題からです。
○【労災問8】= 請負事業の一括に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業であって、数次の請負によって行われる場合、雇用保険に係る保険関係については、元請事業に一括することなく事業としての適用単位が決められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。
労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、下請負に係る事業については下請負人が事業主であり、元請負人と下請負人の使用する労働者の間には労働関係がないが、同条第2項に規定する場合を除き、元請負人は当核請負に係る事業について下請負をさせた部分を含め、そのすべての労働者について事業主として保険料の納付等の義務を負う。
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、天災その他不可抗力等のやむを得ない理由により、同法施行規則第8条第1項に定める期間内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を提出することができなかったときは、期限後であっても当該申請書を提出することができる。
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けるためには、当該下請負事業の概算保険料が160万円以上、かつ、請負金額が1億8,000万円以上(消費税等相当額を除く。)であることが必要とされている。
○【労災問9】= 口座振替に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働保険料の口座振替による納付制度は、一括有期事業の事業主も、単独有期事業の事業主も対象となる。
労働保険料の口座振替による納付制度は、納付が確実と認められ、かつ、口座振替の申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができ、納入告知書によって行われる納付についても認められる。
労働保険料を口座振替によって納付することを希望する事業主は、労働保険徴収法施行規則第38条の2に定める事項を記載した書面を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することによって申出を行わなければならない。
労働保険料を口座振替によって納付する事業主は、概算保険料申告書及び確定保険料申告書(労働保険徴収法施行規則第38条第2項第4号の申告書を除く。)を、 日本銀行、年金事務所又は所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。
口座振替による納付制度を利用する事業主から納付に際し添えることとされている申告書の提出を受けた所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険料の納付に必要な納付書を労働保険徴収法第21条の2第1項の金融機関へ送付するものとされている。
○【労災問10】= 労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
事業主は、あらかじめ代理人を選任し、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出ている場合、労働保険徴収法施行規則によって事業主が行わなければならない労働保険料の納付に係る事項を、その代理人に行わせることができる。
所轄都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長は、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、労働保険徴収法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずる場合、文書によって行わなければならない。
前保険年度より保険関係が引き続く継続事業における年度当初の確定精算に伴う精算返還金に係る時効の起算日は6月1日となるが、確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合、時効の起算日はその提出された日の翌日となる。
継続事業の廃止及び有期事業の終了に伴う精算返還金に係る時効の起算日は事業の廃止又は終了の日の翌日となるが、確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合、時効の起算日はその提出された日となる。
事業主が概算保険料の申告書を提出していない場合、政府が労働保険徴収法第15条第3項の規定に基づき認定決定した概算保険料について通知を行ったとき、当該通知によって未納の当該労働保険料について時効の更新の効力を生ずる。
次に、雇用保険法における出題です。
○【雇用問8】=労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
雇用保険暫定任意適用事業に該当する事業が雇用保険法第5条第1項の適用事業に該当するに至った場合は、その該当するに至った日から10日以内に労働保険徴収法第4条の2に規定する保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業については、労災保険に係る保険関係と雇用保険に係る保険関係の双方を一の事業についての労働保険の保険関係として取り扱い、一般保険料の算定、納付等の手続を一元的に処理する事業として定められている。
保険関係が成立している事業の事業主は、事業主の氏名又は名称及び住所に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、労働保険徴収法施行規則第5条第2項に規定する事項を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の事業主については、その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意を得て、その者が当該保険関係の消滅の申請をした場合、厚生労働大臣の認可があった日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。
雇用保険法第5条第1項の適用事業及び雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の保険関係は、当該事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その日に消滅する。
○【雇用問9】=印紙保険料に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
雇用保険印紙購入通帳は、その交付の日の属する保険年度に限りその効力を有するが、有効期間の更新を受けた当該雇用保険印紙購入通帳は、更新前の雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了する日の翌日の属する保険年度に限り、その効力を有する。
事業主は、雇用保険印紙購入通帳の雇用保険印紙購入申込書がなくなった場合であって、当該保険年度中に雇用保険印紙を購入しようとするときは、その旨を所轄公共職業安定所長に申し出て、再交付を受けなければならない。
事業主は、その所持する雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了したときは、速やかに、その所持する雇用保険印紙購入通帳を所轄公共職業安定所長に返納しなければならない。
事業主は、雇用保険印紙と印紙保険料納付計器を併用して印紙保険料を納付する場合、労働保険徴収法施行規則第54条に定める印紙保険料納付状況報告書によって、毎月における雇用保険印紙の受払状況及び毎月における印紙保険料納付計器の使用状況を、所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。
事業主は、印紙保険料納付計器の全部又は一部を使用しなくなったときは、当該使用しなくなった印紙保険料納付計器を納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に提示しなければならず、当該都道府県労働局歳入徴収官による当該印紙保険料納付計器の封の解除その他必要な措置を受けることとなる。
○【雇用問10】=労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
前保険年度より保険関係が引き続く継続事業の事業主は、労働保険徴収法第19条第1項に定める確定保険料申告書を、保険年度の7月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、当該事業が3月31日に廃上された場合には同年5月10日までに提出しなければならない。
3月31日に事業が終了した有期事業の事業主は、労働保険徴収法第19条第1項に定める確定保険料申告書を、同年5月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
2以上の有期事業が労働保険徴収法第7条に定める要件に該当し、1の事業とみなされる事業についての事業主は、当該事業が継続している場合、同法施行規則第34条に定める一括有期事業についての報告書を、次の保険年度の7月1日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
前保険年度より保険関係が引き続く継続事業の事業主は、前保険年度の3月31日に賃金締切日があり当該保険年度の4月20日に当該賃金を支払う場合、当該賃金は前保険年度の確定保険料として申告すべき一般保険料の額を算定する際の賃金総額に含まれる。
労働保険徴収法第21条の規定により追徴金を徴収しようとする場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主が通知を受けた日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納入告知書により、事業主に、当該追徴金の額、その算定の基礎となる事項及び納期限を通知しなければならない。
総評
徴収法も、簡単に得点できるような出題ではありません。「労災保険法や雇用保険法が得点しにくいことから徴収法で稼ぐ」というわけにはいかないのが現実です。
今回は、労災保険法の3問から1問、雇用保険法の3問から1問ないし2問を正解したいところです。
労災保険法の3問については、以下の通りです。
【労災問8】(こちら)は、請負事業の一括に関する出題です。いずれの肢も、過去問の多いオーソドックスな論点です。
ただし、肢E(こちら)の下請負事業の分離の数字(金額)に関する要件について、正確な知識が要求されます。過去問はあるところであり、このような肢を正答できるかどうか辺りが、合否の分かれ目のポイントの一つとなりそうです。
【労災問9】(こちら)は、口座振替納付に関する出題です。
過去問の出題歴のある肢も多いですが、細かい知識が問われており、やや厳しいです。肢Bに違和感が感じる程度に学習ができていれば、合格圏内の力があります。
【労災問10】(こちら)は、肢C以下(特にCとD)が難しいです。
以上、労災保険法の3問については、問8を何とか確保したいところです。
雇用保険法の3問については、以下の通りです。
【雇用問8】(こちら)は、主に保険関係の成立・変更・消滅に関する問題です。比較的平易であり、過去問が多いです。
【雇用問9】(こちら)は、印紙保険料に関する出題です。
ただし、購入通帳と納付計器という細かい箇所から出題されています。特に納付計器に関する肢DとEは正答することが厳しいです。
【雇用問10】(こちら)は、労働保険料の納付の手続等に関する出題です。
なんとか正解肢を見つけることは可能であり、正答したいところです。
徴収法は、過去問で取り上げられている論点が問われることも少なくないため、過去問で既出の論点については正答できるように準備することが必要です。