令和元年度(平成31年度)雇用保険法
令和元年度(平成31年度・2019年度)の雇用保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 被保険者期間に関する問題:
(最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が特例受給資格を取得したことがある場合において、当該特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間に含まれるか)
(労働した日により算定された本給が11日分未満しか支給されないときでも、家族手当、住宅手当の支給が1月分あれば、その月は被保険者期間に算入するか)
(二重に被保険者資格を取得していた被保険者が一の事業主の適用事業から離職した後に他の事業主の適用事業から離職した場合、被保険者期間として計算する月は、前の方の離職の日に係る算定対象期間について算定するか)
(一般被保険者である日給者が離職の日以前1か月のうち10日間は報酬を受けて労働し、 7日間は労働基準法第26条の規定による休業手当を受けて現実に労働していないときは、当該離職の日以前1か月は被保険者期間として算入しないか)
(被保険者となったことの確認があった日の2年前の日前における被保険者であった期間は被保険者期間の計算には含めないが、当該2年前の日より前に、被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期がある場合は、その時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日以後の被保険者であった期間は、被保険者期間の計算に含めるか)
○【問2】= 基本手当の日額に関する問題:個数問題
(育児休業に伴う勤務時間短縮措置により賃金が低下している期間中に事業所の倒産により離職し受給資格を取得し一定の要件を満たした場合において、離職時に算定される賃金日額が勤務時間短縮措置開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額に比べて低いとき、勤務時間短縮措置開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額により基本手当の日額を算定するか)
(基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の3か月間に支払われたものに限られるか)
(受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者に対する基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45までの範囲の率を乗じて得た金額か)
(厚生労働大臣は、4月1日からの年度の平均給与額が平成27年4月1日から始まる年度(自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならないか)
(失業の認定に係る期間中に得た収入によって基本手当が減額される自己の労働は、原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く。)をいうか)
○【問3】= 失業の認定に関する問題:
(管轄公共職業安定所長は、基本手当の受給資格者の申出によって必要があると認めるときは、他の公共職業安定所長に対し、その者について行う基本手当に関する事務を委嘱することができるか)
(公共職業安定所長の指示した公共職業訓練を受ける受給資格者に係る失業の認定は、当該受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行うか)
(職業に就くためその他やむを得ない理由のため失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭することができない者は、管轄公共職業安定所長に対し、失業の認定日の変更を申し出ることができるか)
(受給資格者が天災その他やむを得ない理由により公共職業安定所に出頭することができなかったときは、その理由がなくなった最初の失業の認定日に出頭することができなかった理由を記載した証明書を提出した場合、当該証明書に記載された期間内に存在した認定日において認定すべき期間をも含めて、失業の認定を行うことができるか)
(公共職業安定所長によって労働の意思又は能力がないものとして受給資格が否認されたことについて不服がある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過するまでに、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができるか)
○【問4】= 雇用保険事務に関する問題:
(雇用保険に関する事務(労働保険徴収法施行規則第1条第1項に規定する労働保険関係事務を除く)のうち都道府県知事が行う事務は、適用事業の事業所の所在地を管轄する都道府県知事が行うか)
(介護休業給付関係手続については、介護体業給付金の支給を受けようとする被保険者を雇用する事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所において行うか)
(教育訓練給付金に関する事務は、教育訓練給付対象者の住所又は居所を管轄する公共職業安定所長が行うか)
(雇用保険法第38条第1項に規定する短期雇用特例被保険者に該当するかどうかの確認は、厚生労働大臣の委任を受けたその者の住所又は居所を管轄する都道府県知事が行うか)
(未支給の失業等給付の請求を行う者についての当該未支給の失業等給付に関する事務は、受給資格者等の死亡の当時の住所又は居所を管轄する公共職業安定所長が行うか)
○【問5】= 就職促進給付に関する問題:
(厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上あるものは、就業手当を受給することができるか)
・【令和元年問5B】:【平成30年度試験 改正事項】
(移転費は、受給資格者等が公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに、支給されるか)
(身体障害者その他就職が困難な者として厚生労働省令で定めるものが基本手当の支給残日数の3分の1未満を残して厚生労働大臣の定める安定した職業に就いたときは、当該受給資格者は再就職手当を受けることができるか)
・【令和元年問5D】:【平成29年度試験 改正事項】
(早期再就職者に係る再就職手当の額は、支給残日数に相当する日数に10分の6を乗じて得た数に基本手当日額を乗じて得た額か)
・【令和元年問5E】:【平成29年度試験 改正事項】
(短期訓練受講費の額は、教育訓練の受講のために支払った費用に100分の40を乗じて得た額(その額が10万円を超えるときは、10万円)か)
○【問6】= 高年齢雇用継続給付に関する問題:
(60歳に達した日に算定基礎期間に相当する期間が5年に満たない者が、その後継続雇用され算定基礎期間に相当する期間が5年に達した場合、他の要件を満たす限り算定基礎期間に相当する期間が5年に達する日の属する月から65歳に達する日の属する月まで高年齢雇用継続基本給付金が支給されるか)
(支給対象月に支払われた賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の60に相当する場合、高年齢雇用継続基本給付金の額は、当該賃金の額に100分の15を乗じて得た額(ただし、その額に当該賃金の額を加えて得た額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額)となるか)
(受給資格者が冠婚葬祭等の私事により欠勤したことで賃金の減額が行われた場合のみなし賃金日額は、実際に支払われた賃金の額により算定された額となるか)
※ 注:本問は、設問中、「受給資格者」とあるのは「被保険者」に、「みなし賃金日額」とあるのは「支給対象月に支払われた賃金の額」に修正する必要があります。没問といってよいです。
(高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき雇用保険法第56条の3第1項第1号ロに定める就業促進手当の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給しないか)
※ 注:本問は、設問中、「雇用保険法第56条の3第1項第1号ロに定める就業促進手当」とあるのを、「雇用保険法第56条の3第1項第1号ロに定める再就職手当」に修正した方がよいでしょう。
(再就職の日が月の途中である場合、その月の高年齢再就職給付金は支給しないか)
○【問7】= 雇用安定事業及び能力開発事業に関する問題:
(短時間休業により雇用調整助成金を受給しようとする事業主は、休業等の期間、休業等の対象となる労働者の範囲、手当又は賃金の支払の基準その他休業等の実施に関する事項について、あらかじめ事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者。)との間に書面による協定をしなければならないか)
(キャリアアップ助成金は、特定地方独立行政法人に対しては、支給しないか)
(雇用調整助成金は、労働保険料の納付の状況が著しく不適切である事業主に対しては、支給しないか)
※ なお、上記肢Cは、直接的には【令和元年度試験 改正事項】ではありませんが、当該改正により改められた条文からの出題でした。
(一般トライアルコース助成金は、雇い入れた労働者が雇用保険法の一般被保険者となって3か月を経過したものについて、当該労働者を雇い入れた事業主が適正な雇用管理を行っていると認められるときに支給されるか)
(国庫は、毎年度、予算の範囲内において、就職支援法事業に要する費用(雇用保険法第66第1項第4号に規定する費用を除く。)及び雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担するか)
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 雇用保険法第21条は、「基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日( A のため職業に就くことができない日を含む。)が B に満たない間は、支給しない。」と規定している。
2 雇用保険法第61条の4第1項は、育児体業給付金について定めており、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)が厚生労働省令で定めるところにより子を養育するための体業をした場合、「当該 C 前2年間(当該 C 前2年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により D 以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者について、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間))に、みなし被保険者期間が E 以上であつたときに、支給単位期間について支給する。」と規定している。
選択肢:
①休業開始予定日 ②休業を開始した日
③休業を事業主に申し出た日 ④激甚災害その他の災害
⑤疾病又は負傷 ⑥心身の障害
⑦通算して7日 ⑧通算して10日
⑨通算して20日 ⑩通算して30日
⑪通算して6箇月 ⑫通算して12箇月
⑬引き続き7日 ⑭引き続き10日
⑮引き続き20日 ⑯引き続き30日
⑰引き続き6箇月 ⑱引き続き12箇月
⑲被保険者の子が1歳に達した日 ⑳妊娠、出産又は育児
選択式解答
A = ⑤疾病又は負傷
B = ⑦通算して7日
C = ②休業を開始した日
D= ⑯引き続き30日
E= ⑫通算して12箇月
選択式の論点とリンク先
〔2〕問2
選択式の問2は、育児休業給付金の支給要件におけるみなし被保険者期間に関する問題です。
育児休業給付金が支給されるためには、育児休業開始日前2年間(原則)に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であることが必要です。
こちらも、育児休業給付金の支給要件に関する基本的な知識でした。本文は、こちらです。
今回の選択式は、5つの空欄全部の正解が望まれる内容でした。
総評
今回は、選択式については、前記の通り、平易な内容でした。
対して、択一式については、厳しい肢がぽつぽつとちりばめられていました。特に、手続関係について、細かく正確な知識を要する問題が少なくなかったです。
当サイトで記載がなかった問題は、【問1C】位でしたので、全体としては、対応はできたかと思います。
なお、問6の就職促進給付の出題において、【平成29年度試験の改正事項】が2肢、【平成30年度試験の改正事項】が1肢、出題されています。
これらの平成28年、29年の改正法からは、今後も出題されるでしょう(個別延長給付及び地域延長給付の改正について、まだ出題がありません)。
問7は、雇用保険二事業に関する出題です。平成28年度あたりから、雇用保険二事業に関する出題が増えてきており、ついに、「助成金」について4肢も出題されるに至りました。
当サイトでも、主な助成金の概要については触れており、その程度の説明で処理はできた出題内容です。試験対策上は、助成金について、あまり学習時間を割かずに、概要を押さえる程度の方がよいでしょう。
なお、不正受給の防止に関する一連の改正事項がありましたが、今回、直接は問われませんでした。ただし、従来から存在するのですが、「労働保険料滞納事業主に対する不支給」という関連する個所について【問9C】で問われました。
【問6】の肢CとDは、どうしたことでしょうか? 肢Cについては、行政手引で「みなし賃金額」という表記があり、「みなし賃金日額」と混同したか?
没問とした方がよさそうです。
全体としては、やはり、日頃の地道な努力が実を結ぶ出題内容にはなっています。