令和2年度 健康保険法
令和2年度の健康保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 健康保険法に関する諸問題:
(全国健康保険協会は、被保険者の保険料に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該協会の職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができるか)
(被保険者が同一疾病について1年6か月間傷病手当金の支給を受けたが疾病が治癒せず、その療養のため労務に服することができず収入の途がない場合であっても、被保険者である間は保険料を負担する義務を負わなければならないか)
(患者申出療養の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うか)
(特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件である「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」の算定において、短時間労働者の所定労働時間が1か月の単位で定められ、特定の月の所定労働時間が例外的に長く又は短く定められているときは、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とするか)
(地域型健康保険組合は、不均一の一般保険料率に係る厚生労働大臣の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、当該地域型健康保険組合の組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならないか)
○【問2】= 健康保険法に関する諸問題:
(保険医又は保険薬剤師の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、過疎地域自立促進特別措置法に規定する過疎地域を含む市町村(人口5万人以上のものを除く。)に所在する医療機関又は薬局に従事する医師、歯科医師又は薬剤師については、その登録の取消しにより当該地域が無医地区等となる場合は、取消し後2年が経過した日に再登録が行われたものとみなされるか)
(高額介護合算療養費に係る自己負担額は、その計算期間(前年の8月1日からその年の7月31日)の途中で、医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも、変更前の保険者に係る自己負担額と変更後の保険者に係る自己負担額は合算されるか)
(特定健康保険組合とは、特例退職被保険者及びその被扶養者に係る健康保険事業の実施が将来にわたり当該健康保険組合の事業の運営に支障を及ぼさないこと等の一定の要件を満たしており、その旨を厚生労働大臣に届け出た健康保険組合をいい、特定健康保険組合となるためには、厚生労働大臣の認可を受ける必要はないか)
(指定訪問看護事業者が、訪問看護事業所の看護師等の従業者について、厚生労働省令で定める基準や員数を満たすことができなくなったとしても、厚生労働大臣は指定訪問看護事業者の指定を取り消すことはできないか)
(被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができず体職したとき、療養の給付は受けられるが、傷病手当金は支給されないか)
○【問3】= 健康保険法に関する諸問題:【組み合わせ問題】
(伝染病の病原体保有者については、原則として病原体の撲滅に関し特に療養の必要があると認められる場合には、自覚症状の有無にかかわらず病原体の保有をもって保険事故としての疾病と解するものであり、病原体保有者が隔離収容等のため労務に服することができないときは、傷病手当金の支給の対象となるものとされているか)
(指定訪問看護は、末期の悪性腫瘍などの厚生労働大臣が定める疾病等の利用者を除き、原則として利用者1人につき週5日を限度として受けられるとされているか)
(配偶者である被保険者から暴力を受けた被扶養者は、被保険者からの届出がなくとも、婦人相談所が発行する配偶者から暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れる旨を申し出ることにより、被扶養者から外れることができるか)
(所在地が一定しない事業所に使用される者で、継続して6か月を超えて使用される場合は、その使用される当初から被保険者になるか)
・【令和2年問3オ】 【令和2年度試験 改正事項(一部関係)】
(被保険者(外国に赴任したことがない被保険者とする)の被扶養者である配偶者に日本国外に居住し日本国籍を有しない父がいる場合、当該被保険者により生計を維持している事実があると認められるときは、当該父は被扶養者として認定されるか)
○【問4】= 健康保険法に関する諸問題:
(厚生労働大臣が健康保険料を徴収する場合において、適用事業所の事業主から健康保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の一部の納付があったときは、当該事業主が納付すべき健康保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の額を基準として按分した額に相当する健康保険料の額が納付されたものとされるか)
(定期健康診断によって初めて結核症と診断された患者について、その時のツベルクリン反応、血沈検査、エックス線検査等の費用は保険給付の対象とはならないか)
(被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者ではないものとする)であった者が、その被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産した場合、出産したときに、国民健康保険の被保険者であっても、その者が健康保険法の規定に基づく出産育児一時金の支給を受ける旨の意思表示をしたときは、健康保険法の規定に基づく出産育児一時金の支給を受けることができるか)
(標準報酬月額が56万円である60歳の被保険者が、慢性腎不全で1つの病院から人工腎臓を実施する療養を受けている場合において、当該療養に係る高額療養費算定基準額は10,000円とされているか)
(新たに適用事業所に使用されることになった者が、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当が支払われているときは、その体業手当の支払いの対象となった日の初日に被保険者の資格を取得するものとされるか)
○【問5】= 健康保険法に関する諸問題:【組み合わせ問題】
(被扶養者の要件として、被保険者と同一の世帯に属する者とは、被保険者と住居及び家計を共同にする者をいい、同一の戸籍内にあることは必ずしも必要ではないが、被保険者が世帯主でなければならないか)
(任意継続被保険者の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならず、保険者は、いかなる理由がある場合においても、この期間を経過した後の申出は受理することができないか)
(季節的業務に使用される者について、当初4か月以内の期間において使用される予定であったが業務の都合その他の事情により、継続して4か月を超えて使用された場合には使用された当初から一般の被保険者となるか)
(実際には労務を提供せず労務の対償として報酬の支払いを受けていないにもかかわらず、偽って被保険者の資格を取得した者が、保険給付を受けたときには、その資格を取り消し、それまで受けた保険給付に要した費用を返還させることとされているか)
(事業主は、被保険者に支払う報酬がないため保険料を控除できない場合でも、被保険者の負担する保険料について納付する義務を負うか)
○【問6】= 健康保険法に関する諸問題:
(被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者が、その資格を喪失後に特例退職被保険者の資格を取得した場合、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができるか)
(保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができるが、その決定は保険者が不正の事実を知った時以後の将来においてのみ決定すべきであるとされているか)
(保険者が、健康保険において第三者の行為によって生じた事故について保険給付をしたとき、その給付の価額の限度において被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求の権利を取得するのは、健康保険法の規定に基づく法律上当然の取得であり、その取得の効力は法律に基づき第三者に対し直接何らの手続きを経ることなく及ぶものであって、保険者が保険給付をしたときにはその給付の価額の限度において当該損害賠償請求権は当然に保険者に移転するか)
(保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに診療担当者より受けた診断書、意見書等によりー般に療養の指示と認められる事実があったにもかかわらず、これに従わないため、療養上の障害を生じ著しく給付費の増加をもたらすと認められる場合には、保険給付の一部を行わないことができるか)
(被保険者が道路交通法違反である無免許運転により起こした事故のため死亡した場合には、所定の要件を満たす者に埋葬料が支給されるか)
○【問7】= 健康保険法に関する諸問題:
(日雇特例被保険者が療養の給付を受けるには、これを受ける日において当該日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上又は当該日の属する月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料が納付されていなければならないか)
(全国健康保険協会の短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならないが、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。この借り換えた短期借入金は、1年以内に償還しなければならないか)
(保険者は、保健事業及び福祉事業に支障がない場合に限り、複保険者等でない者にこれらの事業を利用させることができる。この場合において、保険者は、これらの事業の利用者に対し、利用料を請求することができる。利用料に関する事項は、全国健康保険協会にあっては定款で、健康保険組合にあっては規約で定めなければならない)
(健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったとき、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の2倍に相当する金額以下の過料に処する旨の罰則が定められているか)
(任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。この場合において前納すべき額は、前納に係る期間の各月の保険料の額の合計額となるか)
○【問8】= 健康保険法に関する諸問題:
・【令和2年問8A】 【令和2年度試験 改正事項】
(健康保険被保険者報酬月額算定基礎届の届出は、事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人の事業所の事業主にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで当該届出を行うことができると認められる場合は、この限りでない)
(厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の間覧又は資料の提供を求めることができるか)
(健康保険組合の組合会は、理事長が招集するが、組合会議員の定数の3分の2以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して組合会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から30日以内に組合会を招集しなければならないか)
(保険者は、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けた被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の支払いを免除することができるか)
(被保険者が海外にいるときに発生した保険事故に係る療養費等に関する申請手続等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語翻訳文を添付することとされており、添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させることとされているか)
○【問9】= 健康保険法に関する諸問題:
・【令和2年問9A】 【令和2年度試験 改正事項】
(被扶養者の認定において、被保険者が海外赴任することになり、被保険者の両親が同行する場合、「家族帯同ビザ」の確認により当該両親が被扶養者に該当するか判断することを基本とし、渡航先国で「家族帯同ビザ」の発行がない場合には、発行されたビザが就労目的でないか、渡航が海外赴任に付随するものであるかを踏まえ、個別に判断するか)
・【令和2年問9B】 (厚年法のパスワード)
(給与の支払方法が月給制であり、毎月20日締め、同月末日払いの事業所において、被保険者の給与の締め日が4月より20日から25日に変更された場合、締め日が変更された4月のみ給与計算期間が3月21日から4月25日までとなるため、標準報酬月額の定時決定の際には、3月21日から3月25日までの給与を除外し、締め日変更後の給与制度で計算すべき期間(3月26日から4月25日まで)で算出された報酬を4月の報酬とするか)
・【令和2年問9C】 (厚年法のパスワード)
(育児体業取得中の被保険者について、給与の支払いが一切ない育児休業取得中の期間において昇給があり、固定的賃金に変動があった場合、実際に報酬の支払いがないため、育児休業取得中や育児体業を終了した際に当該固定的賃金の変動を契機とした標準報酬月額の随時改定が行われることはないか)
・【令和2年問9D】 (厚年法のパスワード)
(全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者資格を取得した際の標準報酬月額の決定について、固定的賃金の算定誤りがあった場合には訂正することはできるが、残業代のような非固定的賃金について、その見込みが当初の算定額より増減した場合には訂正することができないとされているか)
(適用事業所に期間の定めなく採用された者は、採用当初の2か月が試用期間として定められていた場合であっても、当該試用期間を経過した日から被保険者となるのではなく、採用日に被保険者となるか)
○【問10】= 健康保険法に関する諸問題:
(労災保険法に基づく休業補償給付を受給している健康保険の被保険者が、さらに業務外の事由による傷病によって労務不能の状態になった場合、休業補償給付が支給され、傷病手当金が支給されることはないか)
(適用事業所が日本年金機構に被保険者資格喪失届及び被保険者報酬月額変更届を届け出る際、届出の受付年月日より60日以上遡る場合又は既に届出済である標準報酬月額を大幅に引き下げる場合は、当該事実を確認できる書類を添付しなければならないか)
(任意適用事業所において被保険者の4分の3以上の申出があった場合、事業主は当該事業所を適用事業所でなくするための認可の申請をしなければならないか)
(育児体業等期間中の保険料の免除に係る申出をした事業主は、被保険者が育児体業等終了予定日を変更したとき、又は育児休業等終了予定日の前日までに育児体業等を終了したときは、速やかにこれを厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならないが、当該被保険者が育児体業等終了予定日の前日までに産前産後休業期間中の保険料の免除の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより育児体業等を終了したときはこの限りでないか)
(被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産の日以前42日から出産の日後56日までの間において、通常の労務に服している期間があった場合は、その間に支給される賃金額が出産手当金の額に満たない場合に限り、その差額が出産手当金として支給されるか)
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 健康保険法第82条第2項の規定によると、厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局に係る同法第63条第3項第1号の指定を行おうとするとき、若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る同法第64条の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、 A ものとされている。
2 保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者が負担する一部負担金の割合については、70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、療養の給付を受ける月の B 以上であるときは、原則として、療養の給付に要する費用の額の100分の30である。
3 50歳で標準報酬月額が41万円の被保険者が1つの病院において同一月内に入院し治療を受けたとき、医薬品など評価療養に係る特別料金が10万円、室料など選定療養に係る特別料金が20万円、保険診療に要した費用が70万円であつた。この場合、保険診療における一部負担金相当額は21万円となり、当該被保険者の高額療養費算定基準額の算定式は「80,100円+(療養に要した費用ー267,000円)×1%」であるので、高額療養費は C となる。
【令和2年度試験 改正事項】
4 健康保険法施行規則第29条の規定によると、健康保険法第48条の規定による被保険者の資格の喪失に関する届出は、様式第8号又は様式第8号の2による健康保険被保険者資格喪失届を日本年金機構又は健康保険組合(様式第8号の2によるものである場合にあっては、日本年金機構)に提出することによって行うものとするとされており、この日本年金機構に提出する様式第8号の2による届書は、 D を経由して提出することができるとされている。
5 健康保険法第181条の2では、全国健康保険協会による広報及び保険料の納付の勧奨等について、「協会は、その管掌する健康保険の事業の円滑な運営が図られるよう、 E に関する広報を実施するとともに、保険料の納付の勧奨その他厚生労働大臣の行う保険料の徴収に係る業務に対する適切な協力を行うものとする。」と規定している。
選択肢:
①7,330円 ②84,430円 ③125,570円 ④127,670円
⑤社会保障審議会の意見を聴く ⑥住所地の市区町村長 ⑦傷病の予防及び健康の保持 ⑧所轄公共職業安定所長 ⑨所轄労働基準監督署長 ⑩前月の標準報酬月額が28万円 ⑪前月の標準報酬月額が34万円 ⑫全国健康保険協会理事長 ⑬地方社会保険医療協議会に諮問する ⑭中央社会保険医療協議会に諮問する ⑮当該事業の意義及び内容 ⑯当該事業の財政状況 ⑰都道府県知事の意見を聴く ⑱標準報酬月額が28万円 ⑲標準報醐月額が34万円 ⑳療養環境の向上及び福祉の増進
選択式解答
A = ⑬「地方社会保険医療協議会に諮問する」(第82条第2項(健保法のパスワード))
B = ⑱「標準報酬月額が28万円」(第74条第1項第3号、施行令第34条)
C = ③「125,570円」(施行令第42条第3項第4号)
D = ⑧「所轄公共職業安定所長」(施行規則第29条第1項、第2項)
E = ⑮「当該事業の意義及び内容」(第181条の2)
選択式の論点とリンク先
〔1〕問1
選択式の問1(空欄のA。こちら)は、保険医療機関等の指定等に関する地方社会保険医療協議会の諮問の問題です。
近時、保険医療機関等の給付担当機関についての出題が多く、前回の令和元年度においても、択一式で数肢出題されていました(【令和元年問4イ(こちら。健保法のパスワード)】や【問7ア(こちら)】など)。
本問については、【平成29年問5E(こちら)】において、ほぼ同様の問題が出題されていたため、得点できるチャンスは大きかったといえます。
本問は、形としては、第82条第2項の条文通りの出題です。
ただ、条文を重視することは重要なのですが、この第82条第2項を眺めていても、なかなか記憶には結びつきません(それでも反復学習しますと、脳裏に残ることが多く、反復学習は重要です)。
「地方社会保険医療協議会なのか、中央社会保険医療協議会なのか」、「諮問なのか、議を経るのか」、「保険医・保険薬剤師が登録する際は諮問は必要ないのか」といった点を混乱しがちです。
そこで、このように条文だけでは記憶できそうにないような個所、混乱しそうな個所等では、何らかの方法で記憶に留める方策を考えて下さい。
当サイトでは、「してい、取消し、しもんの地方」というゴロ合わせで押さえていました(こちら以下)。このゴロさえ押さえておけば、空欄Aは正解できました。
このように、ポイントとなる数字やキーワードについて、試験当日に記憶を喚起できる方法で知識を押さえ込んでおく必要があります。
その手段としては、ゴロ合わせでも、図表を脳裏に焼き付けるなど、どのような方法でも結構ですが、確実に記憶を喚起できる「持ちネタ」を増やしていくことが合格の決定的なポイントです。
〔2〕問2
問2(空欄のB。こちら)は、70歳以上の者に係る療養の給付における一部負担金の問題です(本文は、こちら以下です)。
この「28万円」については、平成15年度の選択式の空欄A(こちら)でも出題されています(選択式については、過去10年を超えているものでも、重要なものはチェックする必要があります。当サイトで掲載しています選択式は、チェックして下さい)。
その他関連知識が、平成27年度の選択式においても出題されており(こちら)、また、択一式の出題も多いことから、押さえておかなければならない個所でした(当サイトでは、ゴロをご用意していました)。
なお、選択肢の⑩では、「前月の標準報酬月額が28万円」というダミーがあります。
このような細部に引っ掛からないためには、条文をベースとしたテキストを日頃から反復して熟読して頂く必要があります。例えば、当サイトのこちらのように整理してある個所を反復チェックします。
〔3〕問3
問3(空欄のC。こちら)は、保険外併用療養費に係る高額療養費の問題です。
問題を読み始めて、一瞬、嫌な予感をされた方が多かったかと思いますが、算定基準額の記憶を確かめる問題ではありませんでした。
本問は、①高額療養費算定基準額の計算式の基礎となる「療養に要した費用」の額(医療費)について、「特別料金」は含まれないこと(本文は、こちらです)、②「高額療養費算定基準額」を解答するのではなく、「支給される高額療養費」を解答すること(このパターンの出題は、これまでの選択式でもありました)の2点がポイントでした。
類問は、最近では、平成28年度の選択式(こちら)で出題されています。
〔4〕問4
問4(空欄のD。こちら)は、令和2年1月1日施行の直近の改正事項である「統一様式」による届出の問題です(施行規則第29条第1項、第2項)。本文では、こちらとこちらです。
設問中の「様式第8号」がこれまでの通常の届書であり、「様式第8号の2」が統一様式による届書です。
本問を選択式で出題してくるとは予想外でした(直前対策講座では、雇用保険法において、「統一様式」の択一式の作問をし、また、厚生年金保険法において、新規適用届に係る統一様式について選択式を作成していましたが)。
しかも、資格取得届の場合と異なり、資格喪失届の場合は、「所轄労働基準監督署長を経由して提出することができない」という特徴があり(この点はこちらの※の箇所で触れています)、この点を突いてきた出題でした。
ちなみに、健保法の選択式では、最近では、平成27年度の選択式(こちら)において、その年の1月1日に施行された「特例基準割合〔=現在の「延滞税特例基準割合」〕に関する延滞金の割合の特例」を出題してきたという前例がありました。
この空欄Dは難しかったと思いますが、選択肢の中には、「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長」という嫌な肢は存在せず、⑧の「所轄公共職業安定所長」か、⑨の「所轄労働基準監督署長」あたりまでは絞れたかと思います。
ただ、このいずれなのかは、難しかったでしょう。
〔5〕問5
問5(空欄のE。こちら)は、難しいです。
当サイトでは、こちらでなんと条文しか掲載していませんでした(当サイトが条文しか掲載しないというのは、非常に珍しいのですが、まったくマークしていなかったことになります。空欄となった箇所を太字にもできていませんでした)。
総評
選択式については、空欄E(こちら)は難しく、空欄のB(こちら)とC(こちら)を正解した上で、A(こちら)かD(こちら)を正解しなければなりません。
ただし、前記の通り、D(統一様式)は厄介であり、A(地方社会保険医療協議会の諮問)についても、万が一確実な記憶がないと落としかねないという内容でした。
基準点の確保がギリギリだったように思えます。
※ 実際には、救済がなされ、基準点が2点に引き下げられました。
択一式についても、結構厄介な肢が多いです。健保法の択一式は、従来から、細かい知識を狙った出題が多いのですが、依然としてこの傾向が続いています。
学習方法としては、例えば、選択式の空欄のA(こちら。地方社会保険医療協議会の諮問)のような選択式・択一式のいずれにおいても出題されやすそうな重要な土台となる知識を各分野において正確に記憶しておくことが必要です。
そのうえで、例えば、今回の択一式における【問1D(こちら)】や【問9】のB(こちら。厚年法のパスワード)~Dのように頻繁に出題されている一連の通達(事務連絡)がありますから、これらも押さえておくとよいです(こちらについては、当サイトで整理されて記載していますから、反復して当サイトをお読み頂き、「読んだ覚えがある」という状態に持っていきます)。
以上、令和2年度の健保法の本試験問題でした。