令和元年度(平成31年度)労働一般
令和元年度(平成31年度・2019年度)の労働一般の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 労働費用に関する問題:
・【令和元年問1】(白書対策講座のパスワード)
※「平成28年 就労条件総合調査」から労働費用に関する出題でした。
当サイトでは、「白書対策講座」の上記リンク先において、過去問(最新のデーターに置き換えたもの)も含め、取り上げていました。
本問については、平成28年度の選択式(こちら)のほか、【平成19年問3】の各肢(こちら)、【平成22年問1A(こちら)】などが類問でした。
これらの過去問を分析していれば、正解できた問題です。
労働一般においても、過去問を最新のデーターに置き換えてチェックすることが必要です。
○【問2】= 労使間交渉等に関する実態調査に関する問題:
・【令和元年問2】 (白書対策講座のパスワード)
※「平成29年労使間の交渉等に関する実態調査」からの出題であり、こちらも「白書対策講座」でカバーしていました。
なお、今回の「労使間の交渉等に関する実態調査」ではないですが、平成28年度の選択式では、「労働組合活動等に関する実態調査」から出題されていました(こちら) 。
後掲の選択式も含め、今回の労働一般について、当サイトでは、多くのデーターをカバーしていたことになります。
○【問3】= 労働契約法等に関する問題:
・【令和元年問3A】 (労働一般のパスワード)
(労働契約法第4条第1項は、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにする」ことを規定しているが、これは労働契約の締結の場面及び変更する場面のことをいうものであり、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面は含まれないか)
・【令和元年問3B】 (労基法のパスワード)
(就業規則に定められている事項であっても、例えば、就業規則の制定趣旨や根本精神を宣言した規定、労使協議の手続に関する規定等労働条件でないものについては、労働契約法第7条本文によっても労働契約の内容とはならないか)
・【令和元年問3C】 (労働一般のパスワード)
(労働契約法第15条の「懲戒」とは、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同義であり、同条により、当該事業場に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に記載することが義務付けられているか)
・【令和元年問3D】 (労働一般のパスワード)
(有期労働契約の契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合、当該事由に該当することをもって労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるか)
・【令和元年問3E】 (労基法のパスワード)
(労働契約法第10条の「就業規則の変更」には、就業規則の中に現に存在する条項を改廃することのほか、条項を新設することも含まれるか)
※ この【令和元年問3】の5肢は、いずれも、平成24年改正法の施行通達(【平成24.8.10基発第0810号第2号】)からの出題です。
特に肢Bの「労使協議の手続に関する規定」は、少し考える必要もあり、簡単な問題ではありませんでしたが、正解肢はわかりやすいため、解答自体はさほど困難ではありませんでした。
○【問4】= 労働関係法規に関する問題:
・【令和元年問4A】 :最低賃金法(労働一般のパスワード。以下、特記ない限り、本問において同じ)
(労働者派遣法第44条第1項に規定する「派遣中の労働者」に対しては、賃金を支払うのは派遣元であるが、当該労働者の地域別最低賃金については、派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額が適用されるか)
・【令和元年問4B】 :高年齢者雇用安定法
(65歳未満の定年の定めをしている事業主が、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、新たに継続雇用制度を導入する場合、事業主は、継続雇用を希望する労働者について労使協定に定める基準に基づき、継続雇用をしないことができるか)
・【令和元年問4C】 :障害者雇用促進法
(事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときを除いて、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないか)
・【令和元年問4D】 :職業安定法
(職業安定法にいう職業紹介におけるあっせんには、「求入者と求職者との間に雇用関係を成立させるために両者を引き合わせる行為のみならず、求人者に紹介するために求職者を探索し、求人者に就職するよう求職者に勧奨するいわゆるスカウト行為(以下「スカウト行為」という。)も含まれるものと解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。)
※ 正しいです。【東京エグゼクティブ・サーチ事件=最判平成6.4.22】の立場です。
・【令和元年問4E】 :職業安定法
(公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。)
※ 正しいです(職業安定法第20条第1項)。
※【問5(社会保険労務士法)】は、テキスト未作成のため、現在は掲載省略。
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 技能検定とは、働く上で身に付ける、又は必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度であり、試験に合格すると A と名乗ることができる。平成29年度より、日本でのものづくり分野に従事する若者の確保・育成を目的として、 B 歳未満の者が技能検定を受ける際の受検料を一部減額するようになった。
2 女性活躍推進法に基づいて行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができる。認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク C を商品などに付すことができる。
3 我が国の就業・不就業の実態を調べた「就業構造基本調査(総務省)」をみると、平成29年の女性の年齢別有業率は、平成24年に比べて D した。また、平成29年調査で把握された起業者総数に占める女性の割合は約 E 割になっている。
選択肢:
①1 ②2 ③3 ④4
⑤25 ⑥30 ⑦35 ⑧40
⑨20歳代以下の層のみ低下 ⑩30歳代と40歳代で低下
⑪60歳以上の層のみ上昇 ⑫えるぼし
⑬技術士 ⑭技能検定士
⑮技能士 ⑯くるみん
⑰熟練工 ⑱すべての年齢階級で上昇
⑲プラチナくるみん ⑳なでしこ応援企業
選択式解答
A=⑮技能士
B=⑦35
C=⑫えるぼし
D=⑱すべての年齢階級で上昇
E=②2
選択式の論点とリンク先
〔1〕問1
選択式の問1は、職業能力開発促進法からです。
1 空欄のAの「技能士」は、次の同法第50条第1項から出題されたものです。
【条文】
職業能力開発促進法第50条(合格者の名称) 1.技能検定に合格した者は、技能士と称することができる。
2.技能検定に合格した者は、前項の規定により技能士と称するときは、その合格した技能検定に係る職種及び等級(当該技能検定が等級に区分しないで行われたものである場合にあつては、職種)を表示してするものとし、合格していない技能検定に係る職種又は等級を表示してはならない。
3.厚生労働大臣は、技能士が前項の規定に違反して合格していない技能検定の職種又は等級を表示した場合には、2年以内の期間を定めて技能士の名称の使用の停止を命ずることができる。
4.技能士でない者は、技能士という名称を用いてはならない。 |
「平成29年版 厚生労働白書」では、221頁(こちらのpdfの18頁)において記載されています。
なお、この「平成29年版 厚生労働白書」は、今回の試験では、前年分の厚生労働白書に相当するもの(1年古いもの)です。
今回の試験では、本来は、「平成30年版 厚生労働白書」が直近のものでしたが、国等の障害者雇用率の水増し問題等の関係で、その公表が本試験に間に合わず、令和元年7月9日に公表されました。
ちなみに、直近の「平成30年版 厚生労働白書」では、271頁(こちらのpdfの19頁)において記載されています。
なお、この「平成29年版 厚生労働白書」は、前回の平成30年度の試験の際に、当サイトでも、「白書対策講座」において取り上げていましたが、今回出題の「技能士」(技能検定)については、掲載していませんでした(技能検定は、同白書の第2部の「第2章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など」という章の後半で掲載されていたのですが、当サイトでは、前半の非正規雇用労働者の関係を掲載していました)。
2 空欄のBについては、前掲の「平成29年版 厚生労働白書」の221頁(こちらのpdfの18頁)に、次の通り記載されています。
「なお、若者が技能検定を受検しやすい環境を整備するため、2級と3級の実技試験を受検する35歳未満の者に対して、最大9,000円を支援する措置を予定している。」
ちなみに、直近の「平成30年版 厚生労働白書」では、271頁(こちらのpdfの19頁)において、上記の末尾が、「・・・措置を実施している。」に変わっています。
※ なお、上記の35歳未満の者に対する受検料の最大9千円の減額の措置は、平成29年度から実施されました。
その後、令和5年度からは、「35歳未満の者」が「25歳未満の在職者」に緩和され、さらに、令和6年度からは、「3級」の実技試験を受検する「23歳未満の者」に対して同措置が実施されています。
〔2〕問2
選択式の問2は、女性活躍推進法からです。
こちらは、「直前対策講座」のこちら(直前対策講座のパスワード)の問2(空欄のC)で的中でした!
本文では、労働一般のこちらで記載しています。
このリンク先のページの冒頭下部においては、過去の「次世代育成支援対策支援法」の出題の仕方から、【平成29年問2オ(こちら)】の択一式において出題されているとはいえども、引き続き「女性活躍推進法」に警戒しておく必要がある旨を記載していました。
さらに、本年の6月に同法が改正されたことを掲載し、新たな認定制度として、特例認定制度(「プラチナえるぼし」)が創設されたことをお伝えしていました。
今回の選択肢では、⑲に「プラチナくるみん」があります。
本問では、試験委員の波長にシンクロできました。
この「えるぼし」については、模試(?)でも出題したところがあるそうで、少なからず受験者の方としても予想の範疇だったかもしれません。
ただし、手前味噌ですが、労働一般の選択式を的中させたこと(次で見ますように、空欄Dも的中しています)は、他の科目の選択式を的中させた以上に価値があります。
前回の「直前対策講座」の労基法の冒頭においても、「直前対策講座」は「当サイトが最も力を入れている講座です」と記載致しました。
当サイトでは、選択式を的中させることを最終目標として、日々研鑽しています。
令和2年度の選択式についても、「直前対策講座」及び「白書対策講座」において、ひとつでも多く的中させたりかすったりすることを目標に頑張ります!
〔3〕問3
選択式の問3は、「平成29年 就業構造基本調査」から、女性の年齢別有業率等についての出題でした。
実は、この空欄のDの「⑱すべての年齢階級で上昇」についても、「白書対策講座」のこちらの【設問1】で的中となっています。
設問としては、「女性は『45~49歳』の年齢階級で上昇している」として作っており、正解は、「女性は『全て』の年齢階級で上昇している」です。
他方、空欄のE(起業者総数に占める女性の割合)については、「白書対策講座」のこちらの【設問10】で取り上げています。
「男女別にみると、男性の起業者は384万9千人(起業者に占める割合80.7%)、女性の起業者は92万2千人(同19.3%)となっており、男性が約8割となっている。
平成24年と比べると、女性の起業者の割合が10.4ポイント上昇している。」という設問(一部抜粋)を作っていました。
この設問は、誤りであり、平成24年と比べた起業者の割合について、「女性の起業者の割合が10.4ポイント上昇している」ではなく、「女性の起業者の割合が1.4ポイント上昇している」が正しいものであり、「あまり上昇していないのです」と解説していました。
今回の出題とはややずれた設問になっており、上記太字部分によっても、女性が2割であることを記憶することは難しかったかと思います。
ただし、このような設問でも、解答を考えて頂く過程において、また、解答を間違えた場合に、なぜそのようなデーターになっているのか等を考えて頂く中で、さらに、解説中に掲載しています図表でイメージして頂くことによって、いくつかの大まかなデーターや傾向等が記憶に残る可能性があります。
このような記憶の残滓が、試験会場での労働一般選択式の土壇場で浮き上がってくることがありえます。
いずれにしましても、この空欄Eについては、試験委員の波長に少しバイブレーションしかけたのですが、波に乗り損ねました。
以上、令和元年度の労働一般でした。