令和5年度 労働一般

令和5年度(2023年度)の労働一般の本試験問題のインデックスを掲載します。 

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています(一部の択一式については、ここで解説をしています)。 

 

 

択一式

○【問1】= 女性雇用等に関する問題(令和3年労働力調査):

 

▶我が国の女性雇用等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

なお、本間は、「令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

 

【令和5年問1】(白書対策講座のパスワード)

 

※「令和3年度 雇用均等基本調査」の「企業調査」から「女性雇用等」についての出題でした。

当サイトでは、「白書対策講座」の「令和3年度 雇用均等基本調査」で取り上げていました。

この「白書対策講座」では、本問のすべての肢に対応する解説を直接掲載しており、設問化している肢も3肢ありました。

それでも、本問を正答するのは厳しかったです。

詳細は、前掲のリンク先をご覧下さい。

 

 

 

○【問2】= 能力開発や人材育成に関する問題(令和3年度能力開発基本調査):

 

 

・【令和5年問2】

 

▶我が国の能力開発や人材育成に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

なお、本間は、「令和3年度能力開発基本調査(事業所調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

 

〔この【問2】は、ここで解説します。以下、肢ごとに見ます。〕

 

 

 能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」の割合が最も高く、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」と続いている。

 

 

解答:

正しいです(「令和3年度能力開発基本調査」(こちら)の19頁)。

 

能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は、76.4%であり、4分の3以上の事業所で、能力開発や人材育成に関する問題があることがうかがえるとされます。

そして、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(60.5%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(48.2%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(44.0%)と続いています。

 

本問の内容については不自然さはないことから、「正しそうだ」と保留しつつ、他の肢を検討することとなります。

 

【「令和3年度能力開発基本調査」19頁から引用】

 

 

 正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の支援の内容としては、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」の割合が最も高く、「受講料などの金銭的援助」、「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」と続いている。

 

 

解答:

誤りです。

正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の支援の内容としては、①「受講料などの金銭的援助」(78.0%)が最多となっており、②「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供(41.7%)、③「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」(41.5%)の順と続きます(「令和3年度能力開発基本調査」(こちら)の27頁以下)。

 

即ち、正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は81.4%と、前回と比べて1.6ポイント増加しています。

3年移動平均では、近年は8割程度で推移しており、大きな変動はうかがえません。

また、正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対して支援を行っている事業所の割合は61.7%と、正社員と比べ低くなっていますが、近年はやや上昇傾向となっています。

自己啓発に対する支援の内容としては、「受講料などの金銭的援助」(正社員78.0%、正社員以外65.7%)が最多となっており、「教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む)の付与」(正社員22.1%、正社員以外18.6%)は少なくなっています。

 

本肢については、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」と「受講料などの金銭的援助」のどちらが多いかを推測することになりますが、厳しい出題でした。

 

 

【「令和3年度能力開発基本調査」28頁から引用】

 

 

 キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所のうち、正社員に対してキャリアコンサルティングを行う上で問題があるとする事業所における問題の内訳をみると、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」の割合が最も高く、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」と続いている。

 

 

解答:

正しいです(「令和3年度能力開発基本調査」(こちら)の23頁)。

 

キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上で問題があるとする事業所は、「正社員」では67.6%、「正社員以外」では61.5%です。

問題の内訳をみると、正社員では、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」(39.6%)、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.5%) 、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」(33.5%)の順となっています。

正社員以外では、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.2%)、「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」(38.5%)が多くなっています。

 

本肢については、不自然さはありません。

 

 

【「令和3年度能力開発基本調査」24頁から引用】

 

 

 

 労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組は、「上司による定期的な面談(1 on1ミーティング等)」の割合が最も高く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」、「自己啓発に対する支援」と続いている。

 

 

解答:

正しいです(「令和3年度能力開発基本調査」(こちら)の26頁)。

 

労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組は、「上司による定期的な面談(1on1ミーティング等)」が64.3%と最も高く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」(53.9%)、「自己啓発に対する支援」(45.2%)と続いています。

この結論についても、不自然さはありません。

 

なお、今後労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施したい取組の内容については、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」(37.9%)、「人材育成に関する基本的方針の策定」(36.9%)、「上司による定期的な面談の実施(1on1ミーティング等)」(36.2%)の順に高くなっています。

 

 

【「令和3年度能力開発基本調査」26頁から引用】

 

 

 職業能力評価を行っている事業所における職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与

、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」の割合が最も高く、「人材配置の適正化」、「労働者に必要な能力開発の目標」と続いている。

 

 

解答:

正しいです(「令和3年度能力開発基本調査」(こちら)の32頁)。

 

職業能力評価を行っている事業所における職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等) の判断基準」(82.1%)が最多となっており、次いで、「人材配置の適正化」(61.5%)、「労働者に必要な能力開発の目標」(39.0%)と続いています。

この結論についても、不自然さはありません。

 

 

【「令和3年度能力開発基本調査」32頁から引用】

 

 

以上、本問については、肢Bの判断が難しく、正答することは厳しかったかもしれません。

このような出題がなされたときは、そこそこで済ませ、他の設問で時間をかけ正解を取るようにします。

 

 

 

○【問3】= パートタイム・有期雇用労働者の雇用に関する問題(令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査):

 

▶我が国のパートタイム・有期雇用雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

なお、本間は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(事業所調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

 

【令和5年問3】(白書対策講座のパスワード)

 

 当サイトの「白書対策講座」では、本問の5肢全てについて、設問化しており(こちら以下)、正解肢のAについても、こちらの【問1】の肢Aにおいて設問化していました。

ほぼ的中したといえます。

 

 

 

○【問4】= 労働関係法規に関する問題:

 

▶労働関係法規に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和5年問4A】(労働一般のパスワード。以下、本問において同じ)【労働組合法】

(「使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、労働委員会は、誠実交渉命令〔使用者が誠実交渉義務に違反している場合に、これに対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令〕を発することができると解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。)【直近の最高裁判例

 

 

・【令和5年問4B】 【職業安定法】

 

〔本肢については、ここで解説します。〕

 

設問:

職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、特定募集情報等提供事業者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合でなければ、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」「思想及び信条」「労働組合への加入状況」に関する求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を収集することができない。

 

 

解答:

正しいです(職業安定法第5条の5。「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(こちらの第5。【平成11.11.17労働省告示第141号】。最終改正【令和4.6.10厚生労働省告示第198号】))。

 

正確な知識がなくても、「おそらく正しい内容であろう」程度には推測可能であり、最終的には他の肢との兼ね合いで判断します。

 

 

 

【令和5年問4C】 【育児介護休業法】 【直近の改正事項

(事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児体業申出等に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。)

 

【令和5年問4D】 【高年齢者雇用安定法】

(高年齢者雇用安定法に定める義務として継続雇用制度を導入する場合、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではない。)

 

【令和5年問4E】 【青少年雇用安定法】

(厚生労働大臣は、常時雇用する労働者の数が300人以上の事業主からの申請に基づき、当該事業主について、青少年の募集及び採用の方法の改善、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができ、この制度は「ユースエール認定制度」と呼ばれている。)

 

 

 

 

○【問5】= 社労士法に関する問題:

 

 

・【令和5年問5】

 

▶社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

〔この【問5】は、ここで解説します。以下、肢ごとに見ます。〕

 

 

 社会保険労務士は、社会保険労務士法第2条の2に規定する出頭及び陳述に関する事務を受任しようとする場合に、依頼をしようとする者が請求しなかったときには、この者に対し、あらかじめ報酬の基準を明示する義務はない。

 

 

解答:

誤りです(社労士法施行規則第12条の10)。

 

社会保険労務士は、社労士法第2条の2に規定する出頭及び陳述に関する事務を受任しようとする場合は、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければなりません(社労士法施行規則第12条の10第1号)。

「依頼をしようとする者が請求しなかったときには報酬基準の明示義務はない」とする規定はありません。

 

 

 他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条に規定する事務を業として行う社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称(必要な場合においては事件の概要)、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称を記載し、当該帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から1年間保存しなければならない。

 

 

解答:

2か所誤りがあります。

まず、帳簿閉鎖の時から「1年間」ではなく、「2年間」が正しいです(社労士法第19条第2項)。

 

また、設問中、 「(必要な場合においては事件の概要)」とあるのをカットする必要があります。

即ち、開業社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称その他厚生労働大臣が定める事項を記載しなければならないところ(社労士法第19条第1項)、この「厚生労働大臣が定める事項」は「事件の概要」であるため(社労士法施行規則第15条)、「事件の概要」は帳簿に常に記載しなければなりません。

 

 

 社会保険労務士法人を設立するには、主たる事務所の所在地において設立の登記をし、当該法人の社員になろうとする社会保険労務士が、定款を定めた上で、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

 

 

解答:

誤りです。

「厚生労働大臣の認可」を受ける必要はありません(社労士法第25条の11等)。

 

社会保険労務士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します(社労士法第25条の12)。

社会保険労務士法人は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、主たる事務所の所在地の社会保険労務士会を経由して、連合会に届け出なければならず、連合会は、厚生労働省令で定めるところにより、社会保険労務士法人の名簿を作成し、これを厚生労働大臣に提出しなければなりません(同法第25条の13)。

 

 

 社会保険労務士法人の社員が自己又は第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ったときは、当該業務によって当該社員又は第三者が得た利益の額は、社会保険労務士法人に生じた損害の額と推定する。

 

 

解答:

正しいです(社労士法第25条の18第2項)。

社労士法人の社員の競業禁止の規定です。

 

 

 裁判所は、社会保険労務士法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができ、この検査役の選任の裁判に不服のある者は、選任に関する送達を受けた日から2週間以内に上級の裁判所に対して控訴をすることができる。

 

 

解答:

誤りです。

検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることはできません(社労士法第25条の22の6第2項)。

解散・清算の迅速性を確保する必要があり、また、検査役の選任は裁判所が行っているため選任の適切性も担保されていると解されるためです。

 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 最高裁判所は、会社から採用内定を受けていた大学卒業予定者に対し、会社が行った採用内定取消は解約権の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 

大学卒業予定者(被上告人)が、企業(上告人)の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知(以下「本件採用内定通知」という。)を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書(以下「本件誓約書」という。)を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、「企業において、  ことを考慮するとき、上告人からの募集(申込みの誘引)に対し、被上告人が応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する上告人からの採用内定通知は、右申込みに対する承諾であつて、被上告人の本件誓約書の提出とあいまつて、これにより、被上告人と上告人との間に、被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。」

企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の「採用内定の取消事由は、採用内定当時  、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」

 

 

2 労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、  年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。」と定めている。

 

 

3 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度である。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされる。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められており、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、  の罰則(30万円以下の罰金)が科せられる。

なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、精神又は身体の障害により能力の低い者、試の使用期間中の者等については、使用者が  の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められる。

 

 

選択肢:

 

①1 ②2 ③3 ④5

⑤厚生労働省労働基準局長 ⑥厚生労働大臣

⑦知ることができず、また事業の円滑な運営の観点から看過できないような事実であつて

⑧知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて

⑨知ることができたが、調査の結果を待つていた事実であつて

⑩知ることができたが、被上告人が自ら申告しなかつた事実であつて

⑪賃金の支払の確保等に関する法律

⑫都道府県労働局長  ⑬パートタイム・有期雇用労働法

⑭本件採用内定通知に上告人の就業規則を同封していた

⑮本件採用内定通知により労働契約が成立したとはいえない旨を記載していなかつた

⑯本件採用内定通知の記載に基づいて採用内定式を開催し、制服の採寸及び職務で使用する物品の支給を行つていた

⑰本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた

⑱労働契約法 ⑲労働基準監督署長 ⑳労働基準法

 

 

 

 

選択式解答

A=⑰「本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた」(【大日本印刷事件=最判昭54.7.20】。労基法のこちらの下線部分)

 

B=⑧「知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて」(同上。労基法のこちらの赤字部分)

 

C=③「3」(労働者派遣法第35条の3労働一般のパスワード

 

D=⑳「労働基準法」(労基法第24条(賃金全額払の原則)、第120条第1号(労基法のパスワード)により、30万円以下の罰金。労働一般のこちら

 

E=⑫「都道府県労働局長」(最低賃金法第7条労働一般のこちら) 

 

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1 = 空欄のA及びB

 

問1(こちら。空欄のA及びB)は、【大日本印刷事件=最判昭54.7.20】から採用内定の取消しについて出題です。

 

労働一般の選択式については、昨年度から出題傾向が変わり、労働経済のデータではなく、労働一般に関する最高裁判例や労働法令から出題されています。

当サイトで労基法等を学習されている方にとっては、サービス問題のような出題も目立ちます。

空欄Aについては、当サイト(労基法のこちら)では下線も付していました。

空欄Bについても、こちらにおいて赤字で強調していました。

 

当サイトのように体系的に判例をご紹介している場合、判例を理解しやすいという大きなメリットがあります。

 

 

 

〔2〕問2 = 空欄のC

 

問2(こちら。空欄のC)は、労働者派遣法の個人単位の期間制限の基本的な条文からです。当サイトでは、労働一般のこちら以下です。

類問が【平成28年問2D(こちら)】で出題されています。

 

この空欄Cもサービス問題なのですが、初学者の方など、学習期間の短いような方の場合は、労働一般の派遣法などの細かい部分にまで学習が追いついていないことがあります。

本試験の一般常識においては、択一式を含め、この空欄Cのように、市販のどの1冊本にも記載されているような知識が出題されることも少なくないため、一般常識の学習方法として、まずは市販の1冊本などに記載されている事項を暗記できるように準備することが良いでしょう。市販書を理解するための道具として、当サイトの一般常識のテキストをご利用頂くと効率的です。

 

なお、直前対策講座では、こちらの肢Bにおいて、「事業所単位の期間制限」について出題していました。ただ、その解説中では、「個人単位の期間制限」についても触れていました。

 

 

 

〔3〕問3 = 空欄のD及びE

 

問3(こちら。空欄のD及びE)は、最低賃金法からの出題ですが、やや厄介です。

最低賃金については、令和5年度から、地域別最低賃金を決定する際のいわゆる目安額の制度が見直されたため、注意する必要がある旨は、労働一般や白書対策講座で触れていましたが、今回は、別の箇所から出題されました。

 

ただし、直前対策講座のこちらの【問1】Bにおいて、本問の空欄E(「都道府県労働局長」の許可)については的中しました。

 

空欄のD(こちら)については、当サイトでは、労働一般のこちらで解説しています。

即ち、地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金について、この規定に違反した場合は、最低賃金法違反として、50万円以下の罰金に処せられます。

他方、特定最低賃金については、船員に適用されるものを除き、特定最低賃金額未満の賃金を支払っても最低賃金法上の罰則は適用されません(任意的な上積みの最低賃金制度だからです)。

しかし、この場合も、労基法第24条(賃金全額払の原則等)に違反しているため、労働基準法違反(労基法第120条第1号(労基法のパスワード)として、30万円以下の罰金に処せられるのです。

ここは、前掲のリンク先で結構強調していた箇所です。

 

この罰則については、近年では、【平成26年問2D(こちら)】で出題されていましたが、今回は、もう少し深いところを突いてきました。

正答できなかった方が少なくなかったかもしれません。

 

空欄のE(「都道府県労働局長」の許可)は、最低賃金の減額の特例に関する出題です(労働一般のこちら) 。

「厚生労働大臣」と迷った方がおられるかもしれません。

最低賃金は、地域別最低賃金が基本となっており、最低賃金の減額の特例についても、都道府県労働局長の許可を受けることになります。

 

 

 

総評

労働一般の択一式は、全体として厳しい内容でした。

 

労働経済のデータから3問の出題があり、当サイトでは、「白書対策講座」において、【問1】と【問3】についてはカバーしていましたが、それでも正解できるか、かなり微妙でした。この問1~問3の中から1問正解できればというところです。

 

【問4(こちら)】についても、正解肢であるEの「ユースエール認定制度」の数字を押さえていませんと、その他の4肢が簡単ではないことから、厳しいことになりました。

なお、肢A(【問4A】)は、労組法の団体交渉に関する直近の最高裁判例であり、また、肢C(【問4C】は育休法に関する直近の改正事項であり(いわゆる個別の周知・意向確認の措置義務)、当サイトでも、十分注意をしていた事項です。

 

【問5】の社労士法に関する出題を何とか正解したいところです。

 

一方、選択式については、問1(こちら)の【大日本印刷事件=最判昭54.7.20】は、採用内定の取消しに関する基本的かつ重要な判例であり、空欄の2つも判旨のキーになる箇所ですから、正解したいです。

 

問2(こちら)の派遣法の個人単位の期間制限に関する出題については、正解する必要があります。

 

問3(こちら)の最低賃金法からの出題については、空欄の2つのどちらかは正解したいところです。

 

選択式は、基準点はクリアーすることができた内容といえますが(なお、平均点は2.7点でした。前回は2.9点です)、派遣法・最低賃金法といった労働法令の学習は、学習時間をあまりとれないこともあり、学習経験の少ない方にとっては厳しかったかもしれません。

まずは、市販の1冊本程度の知識をしっかり把握することが必要ですが、趣旨やわかりにくい箇所の理解、さらには記憶すべき箇所等について当サイトをご参照下さい。

 

なお、労働経済のデータは、ここ2年度、選択式では出題されなくなりましたが、択一式では引き続き出題されており(今回も3問も出題されています)、また、選択式において法令知識とデータを組み合わせた出題がなされる可能性もあることから、今後も引き続き学習して頂くことが必要です(当サイトの白書対策講座でカバーします)。

 

 

 

<前のページ