平成30年度(労基法)
平成30年度の労働基準法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 労働時間等に関する問題:個数問題
(フレックスタイム制における実際の労働時間に過剰があった場合の繰り越しの可否)
・【平成30年問1イ】(交替運転の際、助手席で仮眠中の労働時間性)
(週44時間の労働時間の特例における事業場規模に係る労働者数の算定方法)
(36協定や災害等による臨時の必要がある場合における年少者の時間外労働の可否)
・【平成30年問1オ】(法定労働時間の1週間の起算)
○【問2】= 労働基準法の適用に関する問題:組み合わせ問題
(フレックスタイム制の要件である就業規則等における始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨の定め)
(1年単位の変形労働時間制における1日及び1週間の労働時間の限度)
(1年単位の変形労働時間制において、対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分した場合の一定日数の休日の不特定の可否)
(解雇予告期間中に業務上傷病療養により休業した場合の解雇制限期間の適用の可否)
・【平成30年問2オ】(解雇予告手当の支払時期と消滅時効)
○【問3】= 時間外・休日労働に係る割増賃金に関する問題:事例問題
○【問4】= 総則に関する問題:組み合わせ問題
・【平成30年問4ア】(第1条第1項(労働条件の原則)における標準家族の範囲)
(第3条(均等待遇)の労働条件として、労働協約等により規定された解雇の理由が含まれるか)
(第4条(男女同一賃金の原則)の差別的取扱いに、女性労働者の賃金を男性労働者より有利に取り扱う場合も含むか)
・【平成30年問4エ】(インターンシップにおける学生の労働者性)
・【平成30年問4オ】(ストックオプション制度から得られる利益の賃金性)
○【問5】= 労働契約等に関する問題:
(解雇予告手当は、第23条の退職の際に請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にあたるか)
(債務不履行により現実に生じた損害について賠償請求する旨の約定は、第16条(賠償の予定の禁止)に違反するか)
(税金の滞納処分によって事業廃止となった場合に、産前産後休業期間中の女性労働者を解雇できるか)
(満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約について、契約期間の上限に違反した場合の効果)
(第22条第4項(通信の禁止等・ブラックリストの禁止)が禁止する通信の事項は例示列挙か)
○【問6】= 賃金等に関する問題:
(派遣元の使用者が派遣労働者に派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけは、賃金直接払の原則に違反しないか)
(使用者が労働者の同意を得て退職金債権に対してする相殺の可否に関する最高裁判例)
(年体制をとる労働者について、賃金の「毎月1回以上払、一定期日払」の原則の適用の有無及び各月の支払いを一定額とすることの要否)
・【平成30年問6D】(ストライキにおける家族手当の削減に関する最高裁判例)
・【平成30年問6E】(健康診断の結果、私傷病のため医師の証明に基づいて使用者が労働者に休業を命じた場合の休業手当の支払義務の有無)
○【問7】=就業規則等に関する問題:
(パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合の意見聴取のあり方)
(就業規則の必要記載事項である「休暇」における育児介護体業法による育児休業に関する記載のあり方)
(就業規則に制裁の定めをする場合と制裁を定めない場合の記載のあり方)
(減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)か)
(法令又は労働協約に抵触する就業規則を定めている使用者に対する都道府県労働局長による助言、指導及び勧告並びに勧告に従わなかった場合の公表の可否)
選択式
次の文中の の部分を選択肢中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 日日雇い入れられる者には労働基準法第20条の解雇の予告の規定は適用されないが、その者が A を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。
2 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、労働基準法第34条の休憩時間のほか、 1日2回各々少なくとも B 、その生児を育てるための時間を請求することができる。
3 最高裁判所は、同業他社への転職者に対する退職金の支給額を一般の退職の場合の半額と定めた退職金規則の効力が問題となった事件において、次のように判示した。
「原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもつて直ちに社員の職業の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがつて、被上告会社がその退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が C 的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。」
4 労働安全衛生法で定義される作業環境測定とは、作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行う D 、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。
5 労働安全衛生法第44条の2第1項では、一定の機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない旨定めているが、その機械等には、クレーンの過負荷防止装置やプレス機械の安全装置の他 E などが定められている。
選択肢:
①15分 ②30分 ③45分 ④1時間 ⑤14日 ⑥30日 ⑦1か月 ⑧2か月
⑨アーク溶接作業用紫外線防護めがね ⑩気流の測定 ⑪功労報償 ⑫作業状況の把握
⑬就業規則を遵守する労働者への生活の補助 ⑭成果給 ⑮墜落災害防止用安全帯 ⑯デザイン ⑰転職の制約に対する代償措置 ⑱放射線作業用保護具 ⑲モニタリング ⑳ろ過材及び面体を有する防じんマスク
選択式解答
A=⑦1か月
B=②30分
C=⑪功労報償
D=⑯デザイン
E=⑳ろ過材及び面体を有する防じんマスク
選択式の解説とリンク先
〔1〕問1
選択式の問1は、解雇予告制度の適用除外の問題のうち、「日日雇い入れられる者」のケースです(第21条第1号)。
これは、こちらの表とゴロ合わせで簡単に解答できます。合格するため正解必至の問題です。
〔3〕問3
選択式の問3は、退職後に同業他社に転職したときの退職手当の減額を定めた就業規則の条項の適法性が問題となった【三晃社事件=最判昭和52.8.9】からです。
こちらの「退職手当」の個所で、詳しく解説しており、難しくはなかったと思います(判決文中においても、「功労報償的な性格」を赤字にしていました)。
〔4〕問4及び問5
安衛法の2問については、問4の「デザイン」は、定義規定(第2条第4号(安衛法のパスワード)。こちら)からの出題であり、必ずチェックする個所であったため、難しくないといえます。
しかし、問5は、難問でした(別表第4第5号、施行令第14条の2第5号。安衛法のこちら以下)。
ちなみに、選択肢の⑮「墜落災害防止用安全帯」については、平成30年6月8日に施行令が改正され、「墜落災害防止用安全帯」である「安全帯(墜落による危険を防止するためのものに限る。)」が「墜落制止用器具」に改められるといったいくつかの見直しが行われました(平成31年2月1日施行)。
しかし、これらは、今回の試験対象には含まれませんでした(が、この翌年の令和元年度の択一式(【令和元年問9】) で出題されました)。