令和元年度(平成31年度)労災保険法

令和元年度(平成31年度・2019年度)の労災保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問1】= 労災保険に関する問題:

 

【令和元年問1A】

(年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始まるか)

 

【令和元年問1B】

(事業主は、その事業についての労災保険に係る保険関係が消滅したときは、その年月日を労働者に周知させなければならないか)

 

【令和元年問1C】

(労災保険法、同法施行規則及び特別支給金規則の規定による文書の様式は、厚生労働大臣が別に定めて告示するところによるか)

 

【令和元年問1D】

(行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができるか)

 

【令和元年問1E】

(労災保険に係る保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、労災保険に関する書類を、その完結の日から5年間保存しなければならないか) 

 

 

○【問2】= 保険給付に関する通知、届出等に関する問題:個数問題

 

【令和元年問2ア】

(所轄労働基準監督署長は、年金たる保険給付の支給決定の通知をするときは、所定の事項を記載した年金証書を当該受給権者に交付しなければならないか) 

 

【令和元年問2イ】

(保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じたときは、保険給付を受けるべき者は、その事実、第三者の氏名及び住所(第三者の氏名及び住所がわからないときは、その旨)並びに被害の状況を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないか) 

 

【令和元年問2ウ】

(保険給付を受けるべき者が、事故のため、自ら保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合でも、事業主は、その手続を行うことができるよう助力する義務はないか) 

 

【令和元年問2エ】

(事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならないか)

 

 

【令和元年問2オ】

(事業主は、当該事業主の事業に係る業務災害又は通勤災害に関する保険給付の請求について、所轄労働基準監督署長に意見を申し出ることはできないか)

 

 

○【問3】=「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」の問題:

 

【令和元年問3A~E】

 

 

○【問4】= 派遣労働者に係る労災保険給付に関する問題:

 

【令和元年問4A】

(派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うこととされているか)

 

【令和元年問4B】

(派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められるものとして取り扱うこととされているか)

 

【令和元年問4C】

(派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となるため、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となるものとして取り扱うこととされているか)

 

【令和元年問4D】

(派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、当該派遣労働者に係る労働者派遣契約の内容等を把握するため、当該派遣労働者に係る「派遣元管理台帳」の写しを保険給付請求書に添付することとされているか)

 

【令和元年問4E】

(派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、保険給付請求書の事業主の証明は派遣先事業主が行うこととされているか)

 

 

○【問5】= 療養補償給付又は療養給付に関する問題:

 

【令和元年問5A】

(療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(「指定病院等」という)において行われ、指定病院等に該当しないときは、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院であっても、療養の給付は行われないか)

 

【令和元年問5B】

(療養の給付を受ける労働者は、当該療養の給付を受けている指定病院等を変更しようとするときは、所定の事項を記載した届書を、新たに療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出するものとされているか)

 

【令和元年問5C】

(病院等の付属施設で、医師が直接指導のもとに行う温泉療養については、療養補償給付の対象となることがあるか)

 

【令和元年問5Ⅾ】

(被災労働者が、災害現場から医師の治療を受けるために医療機関に搬送される途中で死亡したときは、搬送費用が療養補償給付の対象とはなり得ないか)

 

【令和元年問5E】

(療養給付を受ける労働者から一部負担金を徴収する場合には、労働者に支給される休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額から一部負担金の額に相当する額を控除することにより行われるか)

 

 

○【問6】= 特別支給金に関する問題:個数問題

 

【令和元年問6ア】

(既に身体障害のあった者が、業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合における当該事由に係る障害特別支給金の額は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別支給金の額となるか)

 

【令和元年問6イ】

(傷病特別支給金の支給額は、傷病等級に応じて定額であり、傷病等級第1級の場合は、114万円となるか)

 

【令和元年問6ウ】

(体業特別支給金の支給を受けようとする者は、その支給申請の際に、所轄労働基準監督署長に、特別給与の総額を記載した届書を提出しなければならず、特別給与の総額については、事業主の証明を受けなければならないか)

 

【令和元年問6エ】

(特別加入者にも、傷病特別支給金に加え、特別給与を算定基礎とする傷病特別年金が支給されることがあるか)

 

【令和元年問6オ】

(特別支給金は、社会復帰促進等事業の一環として被災労働者等の福祉の増進を図るために行われるものであり、譲渡、差押えは禁止されているか)

 

 

○【問7】= 社会復帰促進等事業に関する問題:

 

【令和元年問7A~E】(社会復帰促進等事業として行われないものを解答する出題)

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

【一部補正(出題後の改正に伴い、次の問1について太字部分を追記しています)】

 

1 労災保険法第1条によれば、労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこと等を目的とする。同法の労働者とは、  法上の労働者であるとされている。そして同法の保険給付とは、業務災害に関する保険給付、複数業務要因災害に関する保険給付、通勤災害に関する保険給付及び  給付の4種類である。保険給付の中には一時金ではなく年金として支払われるものもあり、通勤災害に関する保険給付のうち年金として支払われるのは、障害年金、遺族年金及び   年金である。

 

2 労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下本間において「保険関係成立届」という。)の提出が行われていない間に労災事故が生じた場合において、事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していなかった場合は、政府は保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。事業主がこの提出について、所轄の行政機関から直接指導を受けていたにもかかわらず、その後  以内に保険関係成立届を提出していない場合は、故意が認定される。事業主がこの提出について、保険手続に関する行政機関による指導も、都道府県労働保険事務組合連合会又はその会員である労働保険事務組合による加入勧奨も受けていない場合において、保険関係が成立してから   を経過してなお保険関係成立届を提出していないときには、原則、重大な過失と認定される。

 

選択肢:

 

A ① 労働関係調整 ② 労働基準 ③ 労働組合 ④ 労働契約

 

B ① 求職者 ② 教育訓練 ③ 失業等 ④ 二次健康診断等

 

C ① 厚生 ② 国民 ③ 傷病 ④ 老齢

 

D ① 3日 ② 5日 ③ 7日 ④ 10日

 

E ① 3か月 ② 6か月 ③ 9か月 ④ 1年

 

 

 

 

選択式解答

A= ② 労働基準

 

B= ④ 二次健康診断等

 

C= ③ 傷病

 

D= ④ 10日

 

E= ④ 1年

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

問1は、労災保険法の全体構造を俯瞰するような出題であり、労働者の要件(定義)と保険給付の概要、種類について問われています。

しかし、内容は非常に基本的なものであり、3つの空欄全ての正解が望まれます。

 

1 空欄のA

 

労災保険法の適用の対象となる労働者は、労働基準法第9条に規定する労働者のことと解されています(詳しくは、こちら)。

 

2 空欄のB及びC

 

事業や保険給付の全体像については、こちらの下部の図をご参照下さい。

 

また、保険給付の種類については、こちらこちらの表をご参照下さい。

 

 

〔2〕問2

 

問2は、「労災保険に係る保険関係成立届の未提出期間中の事故」に係る「事業主からの費用徴収」の問題です(本文は、こちら以下です)。

 

空欄のDとEは、細かい数字に関する出題であり、覚えていないと厳しいです。

ただし、こちら以下の2項目において、赤字等でかなり強調して記載しており、※1及び※2の補足もつけていました。

これは、空欄のDについては、【択一式 平成27年問4A(こちら)】、Eについては、【平成27年問4B(こちら)】において論点となっていたためです。

 

いずれにしましても、今回の選択式については、通常の学習により空欄のA~Cは解答できますから、全体としては問題はなかったといえます。

 

 

総評

選択式については、上記の通り、全体としては、さほど問題ありませんでした。

 

択一式については、前半の出題では、過去問に出題がなかったり、細かい部分からの出題も多く見られました。特に、手続関係について、細部が問われています。

他方、【問5】あたりからの後半は、過去問の焼き直しのような出題が多く、少なくとも【問5】と【問7】は、過去問を十分チェックしていれば正解できました(なお、参照されている過去問としては、平成21年、24年、26年、28年度のものが多いです。詳細については、各肢のリンク先で掲載しています)。

 

【問6】は、個数問題であるため、肢イの傷病特別支給金の額(114万円)を覚えていないと全滅になるという怖い出題でしたが、当サイトでは、傷病(補償)年金の額と併せて、ゴロ合わせで押さえていました。

 

前回平成30年度の択一式は、かなり容易なものでしたが、今回は難易度が上がりました。