平成30年度(労災保険法)
平成30年度の労災保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】= 心理的負荷による精神障害の認定基準に関する問題:
・【平成30年問1A~E】(「心理的負荷による精神障害の認定基準について」)
○【問2】= 業務災害に係る保険給付に関する問題:
・【平成30年問2A】(傷病補償年金の支給要件等)
(介護保障給付は、被災労働者が病院又は診療所に入院中も行われるか)
・【平成30年問2C】(介護保障給付の支給額)
・【平成30年問2D】(療養補償給付としての療養の給付の範囲)
(療養補償給付たる療養の費用の支給の請求の際に事業主の証明を受ける事項)
○【問3】= 労災保険法に関する諸問題:
・【平成30年問3A】(戸籍事項の無料証明:第45条)
・【平成30年問3B】(労働者、受給権者等の報告、届出等:第47条)
・【平成30年問3C】(労働者、受給権者等の報告、届出等:第46条)
・【平成30年問3D】(立入検査等:第48条)
・【平成30年問3E】(診療担当者等に対する命令等:第49条)
○【問4】= 労災保険法に関する諸問題:個数問題
(遺族補償年金の受給権者が死亡した場合の未支給給付の請求権者等)
(遺族補償年金の受給権者が死亡した場合において、当該者が死亡前に請求していなかったときの未支給給付の請求権者等)
(未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときの請求の手続)
(労災保険法及び同法に基づく政省令に規定する期間計算については、民法の期間計算に関する規定は準用されないか)
・【平成30年問4オ】(試みの試用期間中の者に労災保険法が適用されるか)
○【問5】= 休業補償給付に関する諸問題:
(休業補償給付の待期期間と休業の初日から第3日目までの事業主による労基法の休業補償義務)
(業務上の傷病により全部労働不能の休業期間中において、事業主が平均賃金の6割以上の金額を支払っている場合の休業補償給付の支給の可否)
・【平成30年問5C】(体業補償給付と傷病補償年金は併給されることはないか)
・【平成30年問5D】(所定休日については休業補償給付は支給されないか)
・【平成30年問5E】(一部労働日における休業補償給付の額)
○【問6】= 障害補償給付に関する諸問題:
・【平成30年問6A】(障害等級表に掲げるもの以外の身体障害の取扱い)
(障害補償一時金を受けた者について、障害程度が自然的経過により増進した場合は、障害補償給付の変更が問題となるか)
(障害補償年金の加重の場合には、差額の年金とともに、既存の障害に係る従前の障害補償年金も継続して支給されるか)
(同一の傷病が再発した場合は、障害補償年金の受給権は消滅するか)
・【平成30年問6E】(併合繰上げの事例)
○【問7】= 二次健康診断等給付に関する諸問題:
(一次健康診断の結果等により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合には、二次健康診断等給付は行われないか)
(特定保健指導は、医師または歯科医師による面接によって行われ、栄養指導もその内容に含まれるか)
(二次健康診断の結果等により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導は行われないか)
(二次健康診断を受けた労働者から、当該二次健康診断の実施の日から3か月以内にその結果を証明する書面の提出を受けた事業者の医師の意見聴取義務の有無)
(二次健康診断等給付を受けようとする者は、請求書をその二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならないか)
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 労災保険法においては、労働基準法適用労働者には当たらないが、業務の実態、災害の発生状況等からみて、労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい一定の者に対して特別加入の制度を設けている。まず、中小事業主等の特別加入については、主たる事業の種類に応じ、厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主で A に労働保険事務の処理を委託している者及びその事業に従事する者である。この事業の事業主としては、卸売業又は B を主たる事業とする事業主の場合は、常時100人以下の労働者を使用する者が該当する。この特別加入に際しては、中小事業主が中請をし、政府の承認を受ける必要がある。
給付基礎日額は、当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額とされており、最高額は C である。
また、労災保険法第33条第3号及び第4号により、厚生労働省令で定める種類の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者とその者が行う事業に従事する者は特別加入の対象となる。この事業の例としては、 D の事業が該当する。また、同条第5号により厚生労働省令で定める種類の作業に従事する者についても特別加入の対象となる。特別加入はこれらの者(一人親方等及び特定作業従事者)の団体が中請をし、政府の承認を受ける必要がある。
2 通勤災害に関する保険給付は、一人親方等及び特定作業従事者の特別加入者のうち、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者には支給されない。 E はその一例に該当する。
選択肢:
A:①社会保険事務所 ②商工会議所 ③特定社会保険労務士 ④労働保険事務組合
B:①小売業 ②サービス業 ③不動産業 ④保険業
C:①20,000円 ②22,000円 ③24,000円 ④25,000円
D:①介護事業 ②畜産業 ③養蚕業 ④林業
E:①医薬品の配置販売の事業を行う個人事業者 ②介護作業従事者 ③個人タクシー事業者 ④船員法第1条に規定する船員
選択式解答
A=④労働保険事務組合
B=②サービス業
C=④25,000円
D=④林業
E=③個人タクシー事業者
選択式の解説とリンク先
今回の選択式は、特別加入という一つの項目から出題されました。
ここ10年では、一つの項目のみから選択式が出題されるのは、平成23年度(外貌の醜状障害に係る障害(補償)給付。直近の改正事項でした)のみでした。
特別加入については、平成27年度の選択式において、特定作業従事者(家内労働者等、介護従事者)に係る特別加入が出題されていました。
今回試験分では、家事支援従事者(特定作業従事者)に係る特別加入の新設という改正事項があり、注意だったのですが、当サイトの直前対策講座(こちら以下。直前対策講座のパスワード)では、この特定作業従事者について、平成27年度に類似する事項が出題されているため、選択式での出題は微妙としつつ、少なくとも、択一式では出題される可能性は高いとしていました。
しかし、実際は、特別加入は、択一式では出題されず、改正事項ではない特別加入について、選択式で1問出題されるという結果に至りました。
結果的には、「労災保険法の選択式では、類似するテーマ・論点から出題されているケースがある」ということになりました。
誠に、遺憾かつ恐縮です。
〔1〕問1
1 中小事業主等の特別加入
問1の前段は、中小事業主等の特別加入の問題です。
空欄のAは、非常にやさしい問題でした。
空欄Bの中小事業主の特定事業の意義については、ゴロ合わせを覚えているかどうかにかかります。こちら以下の表とゴロ合わせをご参照下さい。
給付基礎日額に関する空欄Cの「25,000円」は、当サイト(こちら以下)では、赤字ではなく、太字になっていただけでしたので(次回から色をつけます)、あるいは難しく感じられた方もおられるかもしれません。
前記リンク先のサイトの下部で、この「25,000円」等は、平成25年の改正により追加されたものである旨を記載しておりましたので、あるいは、ここら辺から記憶に留まった方もおられるかもしれません。
市販の1冊本でも、特別加入者に係る給付基礎日額について、少なくとも、「3,500円~25,000円」程度の記載はあるようです(なお、特定作業従事者のうちの家内労働者等については、当分の間、2,000円、2,500円及び3,000円の給付基礎日額も認められます)。
2 一人親方等の特別加入
問1の後段は、 一人親方の特別加入の対象となる事業の種類に関する出題です。
当サイトでは、こちら以下で、ゴロ合わせにより押さえていました。
林業については、施行規則第46条の17第4号で規定されています。
〔2〕問2
問2は、通勤災害に関する保険給付が行われない一人親方等の特別加入者に関する問題です。
基本的な論点であり、当サイトでは、一人親方等のこちらで詳しく触れ、通勤災害のこちら(〔4〕の個所)でもまとめています。
労災保険法の選択式の全体の印象ですが、今回は、3点を確保することはできた問題であったといえそうです。
なお、通常、条文番号を覚える必要はないのですが、特別加入の問題については、「第●号」という号番号を押さえておくと、わかりやすいことがあります。
次の図を参考にして下さい。 第33条は、こちらです(労災保険法のパスワード)。