令和5年度 労働保険徴収法
令和5年度(2023年度)の労働保険徴収法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
※ 徴収法の択一式は、労災保険法の問8から問10、雇用保険法の問8から問10の合計6問出題されます。
まず、労災保険法における出題からです。
○【労災問8】= 労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本間においては保険年度の中途に特別加入者の事業の変更や異動等はないものとする。
(中小事業主等が行う事業に係る労災保険率が1,000分の4であり、当該中小事業主等が労災保険法第34条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者に係る給付基礎日額が12,000円のとき、令和5年度の保険年度1年間における第1種特別加入保険料の額は17,520円となる。)
(有期事業について、中小事業主等が労災保険法第34条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者が概算保険料として納付すべき第1種特別加入保険料の額は、同項の承認に係る全期間における特別加入保険料算定基礎額の総額の見込額に当該事業についての第1種特別加入保険料率を乗じて算定した額とされる。)
(労災保険法第35条第1項の規定により労災保険の適用を受けることができることとされた者に係る給付基礎日額が12,000円である場合、当該者の事業又は作業の種類がいずれであっても令和5年度の保険年度1年間における第2種特別加入保険料の額が227,760円を超えることはない。)
(フードデリバリーの自転車配送員が労災保険法の規定により労災保険に特別加入をすることができる者とされた場合、当該者が納付する特別加入保険料は第2種特別加入保険料である。)
(中小事業主等が行う事業に係る労災保険率が1,000分の9であり、当該中小事業主等に雇用される者が労災保険法第36条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者に係る給付基礎日額が12,000円のとき、令和5年度の保険年度1年間における第3種特別加入保険料の額は39,420円となる。)
○【労災問9】= 労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主のほか、他の都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主についても、当該労働保険事務組合に労働保険事務を委託することができる。)
(労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、必要があると認めたときは、当該労働保険事務組合に対し、当該労働保険事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることができる事業の行われる地域について必要な指示をすることができる。)
(労働保険事務組合は労働保険徴収法第33条第2項に規定する厚生労働大臣の認可を受けることによって全く新しい団体が設立されるわけではなく、既存の事業主の団体等がその事業の一環として、事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理するものである。)
(労働保険事務組合事務処理規約に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実を事業主が報告したにもかかわらず、労働保険事務組合が労働保険徴収法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しなかったため、所轄都道府県労働局歳入徴収官が確定保険料の額を認定決定し、追徴金を徴収することとした場合、当該事業主が当該追徴金を納付するための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったときは、当該労働保険事務組合は政府に対して当該迫徴金の納付責任を負うことはない。)
(清掃業を主たる事業とする事業主は、その使用する労働者数が臨時に増加し一時的に300人を超えることとなった場合でも、常態として300人以下であれば労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託することができる。)
○【労災問10】= 労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(事業主が同一人である2以上の事業(有期事業以外の事業に限る。)であって、労働保険徴収法施行規則第10条で定める要件に該当するものに関し、当該事業主が当該2以上の事業について成立している保険関係の全部又は一部を一の保険関係とすることを継続事業の一括という。)
(継続事業の一括に当たって、労災保険に係る保険関係が成立している事のうち二元適用事業と、一元適用事業であって労災保険及び雇用保険の両保険に係る保険関係が成立している事業とは、一括できない。)
(継続事業の一括に当たって、雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業については、それぞれの事業が労災保険率表による事業の種類を同じくしている必要はない。)
(暫定任意適用事業にあっては、継続事業の一括の申請前に労働保険の保険関係が成立していなくとも、任意加入の申請と同時に一括の申請をして差し支えない。)
(労働保険徴収法第9条の継続事業の一括の認可を受けようとする事業主は、所定の申請書を同条の規定による厚生労働大臣の一の事業の指定を受けることを希望する事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならないが、指定される事業は当該事業主の希望する事業と必ずしも一致しない場合がある。)
次に、雇用保険法における出題です。
○【雇用問8】=労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(不動産業を継続して営んできた事業主が令和5年7月10日までに確定保険料申告書を提出しなかった場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料の額を決定し、これを当該事業主に通知するとともに労働保険徴収法第27条に基づく督促が行われる。)
(小売業を継続して営んできた事業主が令和4年10月31日限りで事業を廃止した場合、確定保険料申告書を同年12月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官あてに提出しなければならない。)
(令和4年6月1日に労働保険の保険関係が成立し、継続して交通運輸事業を営んできた事業主は、概算保険料の申告及び納付手続と確定保険料の申告及び納付手続とを令和5年度の保険年度において同一の用紙により一括して行うことができる。)
(令和4年4月1日に労働保険の保険関係が成立して以降金融業を継続して営んでおり、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主は、令和5年度の保険年度の納付すべき概算保険料の額が10万円であるとき、その延納の申請を行うことはできない。)
(令和4年5月1日から令和6年2月28日までの期間で道路工事を行う事業について、事業主が納付すべき概算保険料の額が120万円であったとき、延納の申請により第1期に納付すべき概算保険料の額は24万円とされる。)
○【雇用問9】=労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(日雇労働被保険者が負担すべき額を賃金から控除する場合において、労働保険徴収法施行規則第60条第2項に定める一般保険料控除計算書を作成し、事業場ごとにこれを備えなければならないが、その形式のいかんを問わないため賃金台帳をもってこれに代えることができる。)
(事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、労働保険徴収法施行規則第42条第1項に掲げる事項を記載した申請書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない。)
(印紙保険料納付計器を厚生労働大臣の承認を受けて設置した事業主は、使用した日雇労働被保険者に賃金を支払う都度、その使用した日の被保険者手帳における該当日欄に納付印をその使用した日数に相当する回数だけ押した後、納付すべき印紙保険料の額に相当する金額を所轄都道府県労働局歳入徴収官に納付しなければならない。)
(事業主は、雇用保険印紙が変更されたときは、その変更された日から1年間、雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所に雇用保険印紙購入通帳を提出し、その保有する雇用保険印紙の買戻しを申し出ることができる。)
(日雇労働被保険者を使用する事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、雇用保険印紙を日雇労働被保険者手帳に貼付することを故意に怠り、1,000円以上の額の印紙保険料を納付しなかった場合、労働保険徴収法第46条の罰則が適用され、 6月以下の懲役又は所轄都道府県労働局歳入徴収官が認定決定した印紙保険料及び迫徴金の額を含む罰金に処せられる。)
○【雇用問10】=労働保険の保険料の徴収等に関する問題
▶労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(労働保険徴収法における「賃金」のうち、食事、被服及び住居の利益の評価に関し必要な事項は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が定めることとされている。)
(国の行う立木の伐採の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、特例により算定した額を当該事業に係る賃金総額とすることが認められている。)
(雇用保険率は、雇用保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとされる。)
(厚生労働大臣は、労働保険徴収法第12条第5項の場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、各保険年度の1年間単位で雇用保険率を同項に定める率の範囲内において変更することができるが、1年間より短い期間で変更することはできない。)
(一般の事業について 雇用保険率が1,000分の15.5であり 二事業率が1,000分の3.5のとき、事業主負担は1,000分の9.5、被保険者負担は1,000分の6となる。)
総評
手のかかる事例問題やメリット性に関する問題等もなく、全体としては厳しい内容ではありませんでした。
労災保険法からの出題については、【労災問8(こちら)】の正当はきびしかったかもしれませんが、【労災問10(こちら)】は正答する必要があり、【労災問9(こちら)】も正答することが可能でした。
最低限【労災問10(こちら)】の1問を正解し、できれば【労災問9(こちら)】も加えて2問正解したいところでした。
対して、雇用保険法からの出題については、細かい知識を問う肢が多かったといえ、労災保険法からの出題よりやや厳しかったです。ただし、正解肢を見つけること自体は可能な内容となっています。
徴収法は、近年、細かい知識を問う出題などが多く、得点を稼げる科目ではなくなっています。
過去問で取り上げられている論点が問われることも少なくないため、まずは、過去問で既出の論点について正答できるように準備することが必要です。