令和元年度(平成31年度)社会一般

令和元年度(平成31年度・2019年度)の社会一般の本試験問題のインデックスを掲載します。 

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問6】= 国民健康保険法に関する問題:

 

【令和元年問6A】

(市町村(特別区を含む。以下本間において同じ)及び国民健康保険組合(以下本間において「組合」という)は、世帯主又は組合員がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている場合において、当該被保険者が保険医療機関又は指定訪問看護事業者について療養を受けたときは、当該世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、療養費を支給するか)

 

【令和元年問6B】

(市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる)

 

【令和元年問6C】

(都道府県若しくは市町村又は組合は、共同してその目的を達成するため、国民健康保険団体連合会を設立することができるか)

 

 ・【令和元年問6D】

(国民健康保険団体連合会を設立しようとするときは、当該連合会の区域をその区域に含む都道府県を統轄する都道府県知事の認可を受けなければならないか)

 

 ・【令和元年問6E】

(保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金(同法附則第10条第1項に規定する療養給付費等拠出金及び事務費拠出金を除く)に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができるか)

 

 

○【問7】= 介護保険法に関する問題:

 

【令和元年問7A】

(要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずるか)

 

【令和元年問7B】

(厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、介護給付等(居宅介護住宅改修費の支給及び介護予防住宅改修費の支給を除く)を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該介護給付等に係る居宅サービス等の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができるか)

 

【令和元年問7C】

(居宅介護住宅改修費は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村(特別区を含む。以下本間において同じ)が必要と認める場合に限り、支給するものとする。居宅介護住宅改修費の額は、現に住宅改修に要した費用の額の100分の75に相当する額とする)

 

【令和元年問7D】

(市町村は、地域支援事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができるか)

 

【令和元年問7E】

(市町村は、基本指針に即して、3年を1期とする当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画を定めるものとするか) 

 

 

○【問8】=高齢者医療確保法に関する問題:

 

【令和元年問8A】

(後期高齢者医療広域連合は、生活療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならないか)

 

【令和元年問8B】

(厚生労働大臣は、指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る)を定めようとするときは、あらかじめ後期高齢者医療審査会の意見を聴かなければならないか)

 

【令和元年問8C】

(指定訪間看護事業者及び当該指定に係る事業所の看護師その他の従業者は、指定訪間看護に関し、市町村長(特別区の区長を含む)の指導を受けなければならないか)

 

【令和元年問8D】

(後期高齢者医療広域連合は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養及び特別療養費に係る療養を含む)を受けるため病院又は診療所に移送されたときは、当該被保険者に対し、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を支給する。この移送費は、厚生労働省令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合が必要であると認める場合に限り、支給するものとする)

 

【令和元年問8E】

(後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、あらかじめ中央社会保険医療協議会の意見を聴いて、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができるか)

 

 

○【問9】=社会保険制度の保険者及び被保険者等に関する問題:

 

【令和元年問9A】介護保険法

(A県A市に住所を有していた介護保険の第2号被保険者(健康保険の被扶養者)が、B県B市の介護保険法に規定する介護保険施設に入所することとなり住民票を異動させた。この場合、住所地特例の適用を受けることはなく、住民票の異動により介護保険の保険者はB県B市となるか)

 

【令和元年問9B】国民健康保険法

(国民健康保険に加入する50歳の世帯主、45歳の世帯主の妻、15歳の世帯主の子のいる世帯では、1年間保険料を滞納したため、世帯主は、居住する市から全員の被保険者証の返還を求められ、被保険者証を返還した。この場合は、その世帯に属する被保険者全員に係る被保険者資格証明書が交付されるか)

 

・【令和元年問9C】:船員保険法〔テキスト未作成のため、リンクはありません。〕

(船員保険の被保険者であった者が、74歳で船員保険の被保険者資格を喪失した。喪失した日に保険者である全国健康保険協会へ申出をし、疾病任意継続被保険者となった場合、当該被保険者は、75歳となっても後期高齢者医療制度の被保険者とはならず、疾病任意継続被保険者の資格を喪失しないか)

 

【令和元年問9D】高齢者医療確保法 【平成30年度試験 改正事項】

(A県A市に居住していた国民健康保険の被保険者が、B県B市の病院に入院し、住民票を異動させたが、住所地特例の適用を受けることにより入院前のA県A市が保険者となり、引き続きA県A市の国民健康保険の被保険者となっている。その者が入院中に国民健康保険の被保険者から後期高齢者医療制度の被保険者となった場合は、入院前のA県の後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者となるのではなく、住民票上のB県の後期高齢者医療広域連合が行う後期高除者医療の被保険者となるか) 

 

 ・【令和元年問9E】介護保険法

(A県A市に住所を有する医療保険加入者(介護保険法に規定する医療保険加入者をいう。以下同じ)ではない60歳の者は、介護保険の被保険者とならないが、A県A市に住所を有する医療保険加入者ではない65歳の者は、介護保険の被保険者となるか。なお、介護保険法施行法に規定する適用除外に関する経過措置には該当しないものとする)

 

 

○【問10】=社会保険制度の改正に関する問題:

 

・【令和元年問10】

 

※ 本問は、まとめてこちらで解説します。

 

設問:

 

社会保険制度の改正に関する次の①から⑥の記述について、改正の施行日が古いものからの順序で記載されているものは、後記AからEまでのうちどれか。

 

① 被用者年金一元化により、所定の要件に該当する国家公務員共済組合の組合員が厚生年金保険の被保険者資格を取得した。

 

② 健康保険の傷病手当金の1日当たりの金額が、原則、支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で除した額に3分の2を乗じた額となった。

 

③ 国民年金第3号被保険者が、個人型確定拠出年金に加入できるようになった。

 

④ 基礎年金番号を記載して行っていた老齢基礎年金の年金請求について、個人番号(マイナンバー)でも行えるようになった。

 

⑤ 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上から10年以上に短縮された。

 

⑥ 国民年金第1号被保険者の産前産後期間の国民年金保険料が免除されるようになった。

 

A ①→②→③→⑤→④→⑥

B ③→①→②→⑤→⑥→④

C ②→①→④→⑤→③→⑥

D ③→②→①→⑤→⑥→④

E ②→③→①→⑤→⑥→④

 

 

 

解答:

 

正解は、Aです。

 

1 ①は、いわゆる「被用者年金一元化法」(正式には、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」。【平成24.8.22法律第63号】)による改正です。

「被用者年金一元化法」により、「所定の要件に該当する国家公務員共済組合の組合員が厚生年金保険の被保険者資格を取得した」(即ち、公務員が厚生年金保険に加入した)改正の施行日は、「平成27年10月1日」です。

厚年法のこちらをご参照下さい。

 

この「被用者年金一元化法」の施行日は、通常の学習においても、記憶しておく必要があります。

なぜなら、被用者年金一元化法の施行日前に支給要件に該当した(給付事由が生じた)厚生年金保険の保険給付(厚生年金)や共済各法の長期給付(共済年金)については、原則として、被用者年金一元化前の規定が適用され、当該規定に基づき支給されるなど、適用関係が変わってくるからです(例えば、被用者年金一元化法の施行日前に受給権が発生した(旧)共済各法による老齢年金である給付等については、被用者年金の一元化後も、一元化前の規定に基づき、退職共済年金として支給されます)。

 

 

2 ②は、健康保険の傷病手当金支給額の改正であり、いわゆる医療保険制度改革法(正式には、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」。【平成27.5.29法律第31号】。「国保法等一部改正法」といわれることもあります)によるものです。平成28年4月1日の施行です。

本文は、健保法のこちら以下及びこちら(後者のリンク先が医療保険制度改革法のまとめとなっています)です。

 

この②の施行日を明確に記憶している受験者の方は、少なかったと思います。

当サイトでは、改正事項について、上記の【平成27.5.29法律第31号】のように、当該法律の公布日等や施行日を基本的に記載していますので、記憶の片隅に残っておられた方もおられるかもしれませんが。

 

 

3 ③の「国民年金第3号被保険者が、個人型確定拠出年金に加入できるようになった」は、ついこの間のことだとまでは記憶されていた方も多いでしょうが、正確な施行日については微妙な方が少なくなかったと思います。

この確定拠出年金法の改正は、平成28年制定の「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」(【平成28.6.3法律第66号】)によるものであり、平成29年1月1日の施行です。本文は、こちら以下です。

 

 

4 ④の「基礎年金番号を記載して行っていた老齢基礎年金の年金請求について、個人番号(マイナンバー)でも行えるようになった」のは、平成30年3月5日施行の改正(【平成30.1.31厚生労働省令第10号】第2条)です。

 こちら(国年法のパスワード)の1やこちらで記載していますが、この施行日を分かった方は少ないでしょう。

 

 

5 ⑤の「老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上から10年以上に短縮された」改正については、数回受験されている方は、あるいはおぼろげながら思い出せた方がおられるかもしれません。

この改正は、平成24年制定の年金機能強化法(【平成24.8.22法律第62号】)によるものですが、消費税の引き上げを前提としていた関係で、実際に施行されたのは平成29年8月1日でした。

本文は、国年法のこちらこちらです。

 

 

6 ⑥の「国民年金第1号被保険者の産前産後期間の国民年金保険料が免除されるようになった」のは、平成31年4月1日の施行です(平成28年制定の「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」。【平成28.12.26法律第114号】。いわゆる「持続可能性向上法」)。

これは、直近の改正事項であり、施行日も押さえておく必要がありました。

 

 

以上より、通常の学習で覚えていることが可能だったのは、①の「被用者年金一元化法」の施行日(平成27年10月1日)と⑥の「産前産後期間の保険料の免除」(平成31年4月1日)の2つ程度だったといえます。

 

直近の改正事項の対策(例:当サイトの「直前対策講座」等)をしていれば、本問のなかに、⑥の「産前産後期間の保険料の免除」の施行日(平成31年4月1日)より新しいものは含まれていないことは比較的導きやすいです。

従って、肢のうち、⑥を最も新しくしているAかCが正解となります。

このAとCについて、例えば、①の「被用者年金一元化法」の施行日と②の「傷病手当金の支給額の改正を定めた法(医療保険制度改革法)」の施行日のどちらが古いのかが分かればよいことになります。

受験回数の多い方なら、①の方が古いであろうことは、学習経験上の感覚から(といいますか、法改正を学習する苦労の結晶として)思い至ることもできたでしょう。

 

本問は、初めてのタイプの出題でした。

今回は、例えば、働き方改革関連法など、直近の改正事項があまり問われていないのですが、逆に改正事項に特化した異例の出題形式が登場してしまったことになります。

このような出題内容が今後も続くのか、微妙です。

ただ、文字通り一般常識として、近時の改正事項の施行日は眺めておかれるのが良いでしょう(当サイトは、マメに記載していますので、参考にして下さい)。 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 船員保険法の規定では、被保険者であった者が、  に職務外の事由により死亡した場合は、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、葬祭を行う者に対し、葬祭料として  を支給するとされている。また、船員保険法施行令の規定では、葬祭料の支給に併せて葬祭料付加金を支給することとされている。

 

2 介護保険法第115条の46第1項の規定によると、地域包括支援センターは、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)及び包括的支援事業その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、  を包括的に支援することを目的とする施設とされている。

 平成30年度試験 改正事項

3 国民健康保険法第4条第2項の規定によると、都道府県は、  、市町村の国民健康保険事業の効率的な実施の確保その他の都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の健全な運営について中心的な役割を果たすものとされている。

 

4 確定拠出年金法第37条第1項によると、企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が、傷病について  までの間において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に企業型記録関連運営管理機関等に障害給付金の支給を請求することができるとされている。

 

選択肢:

 

➀30,000円 ②50,000円

③70,000円 ④100,000円

⑤安定的な財政運営

⑥継続給付を受けなくなった日から3か月以内

⑦継続して1年以上被保険者であった期間を有し、その資格を喪失した後6か月以内

⑧国民健康保険の運営方針の策定 ⑨事務の標準化及び広域化の促進

⑩障害認定日から65歳に達する日

⑪障害認定日から75歳に達する日の前日

⑫初診日から65歳に達する日の前日

⑬初診日から70歳に達する日 ⑭自立した日常生活

⑮船舶所有者に使用されなくなってから6か月以内

⑯その資格を喪失した後3か月以内 ⑰その地域における医療及び介護

⑱その保健医療の向上及び福祉の増進

⑲地域住民との身近な関係性の構築

⑳要介護状態等の軽減又は悪化の防止

 

 

選択式解答

A=⑯その資格を喪失した後3か月以内

 

B=②50,000円

 

C=⑱その保健医療の向上及び福祉の増進

 

D=⑤安定的な財政運営

 

E=⑪障害認定日から7歳に達する日の前日〔※ 出題当時は、「障害認定日から7歳に達する日の前日」でしたが、令和4年4月1日施行の改正により、「75歳」に改められました。〕

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

問1は、船員保険法の葬祭料の問題です。

船員保険法の葬祭料の支給要件は、やや変則なのですが、「3か月」という数字が記憶に残っていれば、空欄のAについては、なんとか正答が可能でした。

平成28年度の択一式(問7)においても、船員保険法の傷病手当金や出産手当金について、数字が絡んだ出題がなされていましたので、この過去問の分析等の際に、船員保険法のその他の保険給付までチェックしたかったところです。

 

空欄のBの支給額については、「健康保険法の葬祭料(健保法のこちら)と同額であり、5万円です。

船員保険法の葬祭料の場合、付加給付として「葬祭料付加金」があり、全体では、約2箇月分の報酬相当額が支給額となります(以前は、船員保険法の葬祭料は2か月分の支給額であったため、引き続きこの分も支給しています。2か月分ということは、労災保険法の「葬祭料」とほぼ同様ということになります)。

このような細かい知識もありますが、船員保険法の葬祭料の額自体は、健保法の葬祭料と同額であることを押さえていれば、クリアーできました。

 

この問1の空欄A、Bのどちらかを正解できたかが、今回の社会一般選択式のキーになりました。

 

 

〔2〕問2

 

問2(こちら)は、介護保険法の「地域包括支援センター」の趣旨、役割(第115条の46第1項)に関する出題でした。

当サイトも、こちら以下で「地域包括支援センター」について詳述してはいました。

そして、「地域包括支援センター」という用語には注意であること(前記リンク先ページの冒頭の地域包括支援センターの個所で記載しています)、また、「地域包括支援センター」の冒頭において、「地域包括支援センターは、地域支援事業を実施して、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設です。」と記載しており、本文中でも、「保健医療の向上及び福祉の増進」というキーワードは太字にはしていました。

 

しかしながら、いかんせん、「地域包括支援センター」までは手が回らないことも少なくないといえるだけでなく、空欄とされた個所が正解しにくい個所でした。

 

候補となる選択肢としては、次の5つでしょうか。

 

⑭自立した日常生活

⑰その地域における医療及び介護

⑱その保健医療の向上及び福祉の増進

⑲地域住民との身近な関係性の構築

⑳要介護状態等の軽減又は悪化の防止

 

地域包括支援センターは、前記の通り、「地域支援事業」を実施する施設です。

地域支援事業は、市町村が行うものですが、地域包括支援センターがその中心的な実施機関となっています。

この「地域支援事業」は、被保険者が要介護状態又は要支援状態(要介護状態等)となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援する等のために、市町村が行うものです(第115条の45参考)。

ここでは、「自立した日常生活」という前記⑭の選択肢や、「要介護状態等」という前記⑳の選択肢に類似したキーワードが登場しており、よく学習されている方ですと、本問の「地域包括支援センター」についても、これらのキーワードが脳裏をかすめてしまうことになります。

 

選択肢⑲の「地域住民との身近な関係性の構築」については、設問(こちら)の空欄Cの直前に、「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより」とあることとのつながりの不自然さや、地域包括支援センター(地域支援事業)が「地域住民と仲良くすること」を目的としているのかを考えますと、「切る」ことができそうです。

 

いずれにしましても、本問は、介護保険法を十分学習していませんと、正解に達することができなかったものといえます。 

 

ちなみに、地域支援事業の全体構造は、次の図の通りです(本文で掲載しているものと同じです)。

 

 

今回の設問(こちら)中、「第1号介護予防支援事業」とあるのは、前掲の図の1「介護予防・日常生活支援総合事業」(いわゆる「総合事業」)の〈1〉「第1号事業」のうちの④です。介護予防ケアマネジメントのことです。

 

また、設問中、「包括的支援事業」とあるのは、前掲の図の2です。

設問中、「その他厚生労働省令で定める事業」とあるのは、前掲の図の3「任意事業」のことです。

 

これらの事業の細部について事細かに押さえる必要はないでしょうが、地域支援事業が「介護予防・日常生活支援総合事業」、「包括的支援事業」及び「任意事業」の3つに大別できることは頭の片隅に入れておかれるとよいでしょう。

より詳しくは、本文のこちら以下の地域支援事業をご参照下さい。

 

 

〔3〕問3

 

問3(こちら)は、国民健康保険法の保険者である都道府県の役割についての出題です。

今回の社会一般の選択式全体の内容からしますと、この問3の空欄D「安定的な財政運営」を正答することが必須となってしまいました。

 

ただ、この空欄Dは、通常の学習により正解可能です。

まず、この空欄を含む部分は、平成30年4月1日施行の改正事項(前年度の平成30年度試験の改正事項)ですが、前年度の択一式の【平成30年問10E(こちら)】においても問われていました。

 

同改正は、従来の市町村が行う国民健康保険について、都道府県を単位として、都道府県及び市町村がともに保険者となることとしたものです。

これにより、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国民健康保険の事業の運営に中心的な役割を担うことで、制度の安定化を図ろうとした趣旨です。

この改正の趣旨を考えても、空欄Dを正解することは十分可能でした。

 

 

〔4〕問4

 

問4(こちら)は、確定拠出年金法から、企業型年金に係る障害給付金の支給要件に関する問題です。

 

本文は、こちらであり、空欄Eの「障害認定日から75歳〔出題当時は70歳〕に達する日の前日」の部分は、赤字にしています(ただし、「障害認定日」の個所は、単に太字でした)。

 

老齢給付金はまだしも、障害給付金以下の給付の細部までは手が回らないことも多いこと、また、確定給付企業年金法の障害給付金の支給要件と混乱する可能性もあることから、本問は、かなり厳しい出題だったといえます。

 

 

今回の社会一般の出題は、選択式は非常に難しく、択一式も難しい肢が多かったでした(もっとも、正解肢自体は分かりやすいものが少なくなく、結果としては合格レベルの得点に至ることは可能でした)。