令和5年度 社会一般
令和5年度(2022年度)の社会一般の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問6】= 確定拠出年金法に関する問題:
▶確定拠出年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
・【令和5年問6A】(社会一般のパスワード。以下、特記ない限りこのページにおいて同様です)
(確定拠出年金法第2条第12項によると、「個人別管理資産」とは、個人型年金加入者又は個人型年金加入者であった者のみに支給する給付に充てるべきものとして、個人型年金のみにおいて積み立てられている資産をいう。)
(同時に2以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有する者は、確定拠出年金法第9条の規定にかかわらず、その者の選択する1つの企業型年金以外の企業型年金の企業型年金加入者としないものとする。この場合、その者が2以上の企業型年金の企業型年金加入者となる資格を有するに至った日から起算して20日以内に、1つの企業型年金を選択しなければならない。)
・【令和5年問6C】 【前年度の改正事項】
(企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が確定拠出年金法第33条の規定により老齢給付金の支給を請求することなく75歳に達したときは、資産管理機関は、その者に、型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて、老齢給付金を支給する。)
(個人型年金加入者は、政令で定めるところにより、年2回以上、定期的に掛金を拠出する。)
(個人型年金加入者は、個人型年金規約で定めるところにより、個人型年金加入者掛金を確定拠出年金運営管理機関に納付するものとする。)
○【問7】= 船員保険法に関する問題:
▶船員保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
〔本問は、ここで解説します。以下、肢ごとに見ます。〕
・【令和5年問7A】
設問:
被保険者(疾病任意継続被保険者を除く。)は、船員として船舶所有者に使用されるに至った日から、被保険者の資格を取得する。
解答:
正しいです(船員保険法第11条)。
健康保険法や厚生年金保険法における当然被保険者の資格取得時期の場合とパラレルであり、当日取得となります(健保法のこちら。厚年法のこちら)。
・【令和5年問7B】
設問:
船舶所有者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
解答:
正しいです(船員保険法第24条)。
・【令和5年問7C】
設問:
被保険者であった者(後期高齢者医療の被保険者等である者を除く。)がその資格を喪失した日後に出産したことにより船員保険法第73条第1項の規定による出産育児一時金の支給を受けるには、被保険者であった者がその資格を喪失した日より6か月以内に出産したこと及び被保険者であった期間が支給要件期間であることを要する。
解答:
正しいです(船員保険法第73条第2項)。
資格喪失後の出産育児一時金の支給要件に関する出題であり、その支給要件は、①船員保険法の被保険者であった者がその資格を喪失した日より6月以内に出産したこと、及び②被保険者であった期間が支給要件期間であることです。
「支給要件期間」とは、被保険者の資格を喪失した日(疾病任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)前における被保険者(疾病任意継続被保険者を除きます)であった期間が、その日前1年間において3月以上又はその日前3年間において1年以上であることをいいます(船員保険法第69条第6項)。
ちなみに、健康保険法における「資格喪失後の出産育児一時金」の支給要件は、㋐被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除きます)であった者が、㋑被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したことです(健保法第106条。健保法のこちら以下)。
健保法の㋑(資格喪失日後6月以内に出産)は、船員保険法の上記①とパラレルであり、また、健保法の㋐(1年以上被保険者であったこと)に相当するのが、船員保険法の②(支給要件期間)であるということになります。
・【令和5年問7D】
設問:
行方不明手当金の支給を受ける期間は、被保険者が行方不明となった日の翌日から起算して2か月を限度とする。
解答:
誤りです。
「2か月」ではなく、「3か月」が正しいです。
即ち、行方不明手当金の支給を受ける期間は、被保険者が行方不明となった日の翌日から起算して3月を限度とします(船員保険法第95条)。
・【令和5年問7E】
設問:
厚生労働大臣は、船員保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、保険料(疾病任意継続被保険者に関する保険料を除く。)を徴収する。
解答:
正しいです(船員保険法第114条第1項)。
健康保険法の場合は、同法第155条第1項に相当します(健保法のこちら)。
○【問8】= 介護保険法に関する問題:
▶介護保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(都道府県及び市町村(特別区を含む。以下本間において同じ。)は、介護保険法の定めるところにより、介護保険を行うものとする。)
(「介護保険施設」とは、指定介護老人福祉施設(都道府県知事が指定する介護老人福祉施設)、介護専用型特定施設及び介護医療院をいう。)
(要介護認定は、市町村が当該認定をした日からその効力を生ずる。)
(要介護認定を受けた被保険者は、その介護の必要の程度が現に受けている要介護認定に係る要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当すると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し、要介護状態区分の変更の認定の申請をすることができる。)
(保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)に不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができる。介護保険審査会の決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。)
○【問9】= 社会保険審査官及び社会保険審査会法に関する問題:
▶社会保険審査官及び社会保険審査会法に関する次の記述のうち、誤っていものはどれか。
・【令和5年問9A】(国年法のパスワード。以下、この【問9】では同じです。)
(社会保険審査官(以下本間において「審査官」という。)は、厚生労働省の職員のうちから厚生労働大臣が命じ、各地方厚生局(地方厚生支局を含む。)に置かれる。)
(審査請求は、原処分の執行を停止しない。ただし、審査官は、原処分の執行により生ずることのある償うことの困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、職権でその執行を停止することができる。その執行の停止は、審査請求があった日から2か月以内に審査請求についての決定がない場合において、審査請求人が、審査請求を棄却する決定があったものとみなして再審査請求をしたときは、その効力を失う。)
(審査請求の決定は、審査請求人に送達されたときに、その効力を生じる。決定の送達は、決定書の謄本を送付することによって行う。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れないとき、その他決定書の謄本を送付することができないときは、公示の方法によってすることができる。)
(社会保険審査会(以下本間において「審査会」という。)は、審査会が定める場合を除き、委員長及び委員のうちから、審査会が指名する者3人をもって構成する合議体で、再審査請求又は審査請求の事件を取り扱う。審査会の合議は、公開しない。)
(審査会は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、利害関係のある第三者を当事者として再審査請求又は審査請求の手続に参加させることができるが、再審査請求又は審査請求への参加は、代理人によってすることができない。)
○【問10】= 高齢者医療確保法に関する問題:
▶高齢者医療確保法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(都道府県は、年度ごとに、保険者から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金を徴収する。)
(都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期として、当該都道府県における医療費適正化を推進するための計画を定めるものとする。)
(都道府県は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(以下本間において「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとする。)
(市町村は、後期高齢者医療に要する費用に充てるため、保険料を徴収し、後期高齢者医療広域連合に対し納付する。市町村による保険料の徴収については、市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者(政令で定める者を除く。)から老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させる普通徴収の方法による場合を除くほか、地方自治法の規定により納入の通知をすることによって保険料を徴収する特別徴収の方法によらなければならない。)
(都道府県は、被保険者の死亡に関しては、高齢者医療確保法の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。)
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
なお、本間の「5」は「令和4年版厚生労働白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。
1 船員保険法第69条第5項の規定によると、傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した傷病に関しては、その支給を始めた日から通算して A 間とされている。
2 高齢者医療確保法第20条の規定によると、保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより B 以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。ただし、加入者が特定健康診査に相当する健康診査を受け、その結果を証明する書面の提出を受けたとき、又は同法第26条第2項の規定により特定健康診査に関する記録の送付を受けたときは、この限りでない。
3 確定給付企業年金法第57条では、「掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって C ができるように計算されるものでなければならない。」と規定している。
4
小学校修了後中学校修了前の児童1人を監護し、かつ、この児童と生計を同じくしている日本国内に住所を有する父に支給する児童手当の額は、1か月につき D である。なお、この児童は施設入所等児童ではなく、父の所得額は所得制限額未満であり、母の所得は父の所得を下回るものとする。
5 高齢化が更に進行し、「団塊の世代」の全員が75歳以上となる2025(令和7)年の日本では、およそ E 人に1人が75歳以上高齢者となり、認知症の高齢者の割合や、世帯主が高齢者の単独世帯・夫婦のみの世帯の割合が増加していくと推計されている。
選択肢:
①3.5 ②5.5 ③7.5 ④9.5
⑤1年 ⑥1年6か月 ⑦2年 ⑧3年
⑨35歳 ⑩40歳 ⑪65歳 ⑫75歳
⑬10,000円 ⑭15,000円 ⑮20,000円 ⑯30,000円
⑰掛金を負担すること ⑱財政の均衡を保つこと
⑲積立金の額が最低積立基準額を満たすこと ⑳必要な給付を行うこと
選択式解答
A=⑧「3年」(船員保険法第69条第5項)
B=⑩「40歳」(高齢者医療確保法第20条本文)
C=⑱「財政の均衡を保つこと」(確定給付企業年金法第57条)
D=⑬「10,000円」(児童手当法第6条第1項第1号のこちらの表の(3)のケース。なお、出題当時の令和6年10月1日施行の改正前は、改正前児童手当法第6条第1項第1号イ(2))
E=②「5.5」(「令和4年版 厚生労働白書」(こちら)348頁)
選択式の論点とリンク先
〔1〕問1 = 空欄のA
選択式の問1(空欄のA。こちら)は、船員保険法の傷病手当金の支給期間についての出題でした。
船員保険法は、基本的には、健康保険法や労災保険法などより労働者の保護に厚いです。
傷病手当金についても、健康保険法の「通算1年6か月間」が「通算3年間」に延長されています(船員保険法第69条第5項)。
基本的な知識ですので、正解率は高そうです。
〔2〕問2 = 空欄のB
選択式の問2(空欄のB。こちら)は、高齢者医療確保法から、特定健康診査の実施義務の対象者の年齢要件に関する出題です(高齢者医療確保法第20条本文)。
かなり基本的な知識です。本文は、こちら(社会一般のパスワード)です。
平成20年度の選択式においても、同じく年齢要件が出題されていました(こちら)。
〔3〕問3 = 空欄のC
選択式の問3(空欄のC。こちら)は、確定給付企業年金の掛金の額の基準に関する問題です(確定給付企業年金法第57条)。
前回の択一式の【令和4年問6C(こちら)】で似たような箇所が出題されているため、正解したいところです。
当サイトは、こちらです。
なお、財政の均衡の保持については、年金2法では、国民年金法第4条の2(国年法のパスワード)や厚生年金保険法第2条の3(厚年法のパスワード)でも規定されています(国年法のこちら以下の〔1〕)。
〔4〕問4 = 空欄のD
選択式の問4(空欄のD。こちら)は、児童手当の額の計算に関する出題です。
児童手当の額については、出題後の令和6年10月1日施行の改正により改められています。
この改正後の支給額は、次の表の通りです。
本問の「小学校修了後中学校修了前の児童1人」に係る児童手当の支給額については、上記表の「3歳以上18歳の年度末までの児童」のうち第1子のケースですから、1万円となります。
この改正後は、所得制限がなくなりましたので、設問中の所得制限に関する記載は解答に影響しないこととなりました。
対して、改正前の支給額は、次の表の通りでした。
本問では、施設入所等児童ではなく、父母は所得制限額未満ですから、通常の「小学校修了後中学校修了前の児童1人」のケースであり、シンプルでした(上記の表の最上段の1万円のケースです)。
児童手当の額については、選択式において、平成21年度(こちら)、平成26年度(こちら)、平成30年度(こちら)に問われており、頻出事項です。
〔5〕問5 = 空欄のE
選択式の問5(空欄のE。こちら)は、令和4年版の厚生労働白書からの出題です(「令和4年版 厚生労働白書」(こちら)348頁) 。
「白書対策講座」では、本問の「5.5」人は空欄としていませんが、こちら(白書対策講座のパスワード)の【問1】で当該箇所を設問化していました。
なお、この部分の記載は、近年の厚生労働白書で同様の記載が続いていました。
仮にこの空欄Eが正解できなくても、他の4つの空欄の3つを正答することは容易でした。
総評
社会一般の選択式は、平成30年度以降3年度連続して基準点が2点に引き下げられており、近時、厳しい内容が出題されています。
前回の令和4年度の選択式も、基準点の引き下げはありませんでしたが、簡単な内容ではありませんでした。
ただし、今回の選択式は、基準点を上回ることは容易でした。
令和4年度と今回の選択式は、ともに社会保障関係のデータから1問出題され、その他に、確定給付企業年金法か確定拠出年金法から1問が出題され、船員保険法と児童手当法から1問ずつの出題という構成となっています。
その他には、国民健康保険法、高齢者医療確保法、介護保険法などが入れ替わってくるという形です。
択一式については、【問9(こちら)】の社審法に関する出題は細かい知識が多く、正解することは厳しいです。
その他の4問から3つ程度正解したいです。
社会一般は、法令科目の出題対象自体は絞れますので、まずは法令科目の知識を身に着けることが重要です。