令和6年度 雇用保険法

令和6年度の雇用保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

 

択一式

○【問1】=被保険者に関する問題:

 

▶雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問1A】

 報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者と認められる株式会社の代表取締役は被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。

 

 

【令和6年問1B】

 適用事業の事業主に雇用されつつ自営業を営む者は、当該適用事業の事業主の下での就業条件が被保険者となるべき要件を満たす限り被保険者となる。

 

 

【令和6年問1C】

 労働者が長期欠勤して賃金の支払を受けていない場合であっても、被保険者となるべき他の要件を満たす雇用関係が存続する限り被保険者となる。

 

 

【令和6年問1D】

 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の組合員は、組合との間に同法に基づく組合関係があることとは別に、当該組合との間に使用従属関係があり当該使用従属関係に基づく労働の提供に対し、その対償として賃金が支払われている場合、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。

 

 

【令和6年問1E】

学校教育法に規定する大学の夜間学部に在籍する者は、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。 

 

 

 

○【問2】=被保険者期間に関する事例問題:

 

【令和6年問2】

Xは、令和3年4月1日にY社に週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職し、初めて被保険者資格を得て同年7月31日に私傷病により離職した。令和5年11月5日、Xは離職の原因となった傷病が治ゆしたことからZ社に被保険者として週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職した。その後Xは私傷病により令和6年2月29日に離職した。

この場合、Z社離職時における基本手当の受給資格要件としての被保険者期間として、正しいものはどれか。なお、XはY社及びZ社において欠勤がなかったものとする。

 

A 3か月

 

B 3と2分の1か月

 

C 4か月

 

D 7か月

 

E 7と2分の1か月

 

 

 

○【問3】=傷病手当に関する問題:

 

▶雇用保険の傷病手当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問3A】

受給資格者が離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、雇用保険法第37条第1項に基づく疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについての認定(以下本間において「傷病の認定」という。)を受けた場合、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない問は、傷病手当を支給しない。

 

 

【令和6年問3B】

 傷病手当を支給する日数は、傷病の認定を受けた受給資格者の所定給付日数から当該受給資格に基づき、既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数に相当する日数分を限度とする。

 

 

【令和6年問3C】

 基本手当の支給を受ける回座振込受給資格者が当該受給期間中に疾病又は負傷により職業に就くことができなくなった場合、天災その他認定を受けなかったことについてやむを得ない理由がない限り、当該受給資格者は、職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の支給日の直前の失業の認定日までに傷病の認定を受けなければならない。

 

 

【令和6年問3D】

 健康保険法第99条の規定による傷病手当金の支給を受けることができる者が傷病の認定を受けた場合、傷病手当を支給する。

 

 

【令和6年問3E】

 傷病手当の日額は、雇用保険法第16条に規定する基本手当の日額に相当する額である。

 

 

 

○【問4】=資格喪失に関する問題:

 

▶雇用保険の資格喪失に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問4A】

事業主は、その雇用する労働者が離職した場合、当該労働者が離職の日において59歳未満であり、雇用保険被保険者離職票(以下本間において「離職票」という。)の交付を希望しないときは、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して雇用保険被保険者離職証明書(以下本間において「離職証明書」という。)を添えずに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することができる。

 

 

【令和6年問4B】

 基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)が離職票に記載された離職の理由に関し異議がある場合、管轄公共職業安定所に対し離職票及び離職の理由を証明することができる書類を提出しなければならない。

 

 

【令和6年問4C】

 雇用する労働者が退職勧奨に応じたことで離職したことにより被保険者でなくなった場合、事業主は、離職証明書及び当該退職勧奨により離職したことを証明する書類を添えて、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければならない。

 

 

【令和6年問4D】

 基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)であって就職状態にあるものが管轄公共職業安定所に対して離職票を提出した場合、当該就職状態が継続することにより基本手当の受給資格が認められなかったことについて不服があるときは、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。

 

 

【令和6年問4E】

 公共職業安定所長は、離職票を提出した者が雇用保険法第13条第1項所定の被保険者期間の要件を満たさないと認めたときは、離職票にその旨を記載して返付しなければならない。

 

 

 

○【問5】=不正受給に関する問題:【組み合わせ問題】

 

▶雇用保険の不正受給に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

 

【令和6年問5ア】

 基本手当の受給資格者が自己の労働によって収入を得た場合、当該収入が基本手当の減額の対象とならない額であっても、これを届け出なければ不正の行為として取り扱われる。

 

 

【令和6年問5イ】

 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した基本手当の全部又は一部の返還を命ずるとともに、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた基本手当の額の3倍に相当する額の金額を納付することを命ずることができる。

 

 

【令和6年問5ウ】

 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して過去適法に受給した基本手当の額を含めた基本手当の全部又は一部を返還することを命ずることができる。

 

 

【令和6年問5エ】

 雇用保険法施行規則第120条にいう雇用関係助成金関係規定にかかわらず、過去5年以内に偽りその他不正の行為により雇用調整助成金の支給を受けた事業主には、雇用関係助成金を支給しない。

 

 

【令和6年問5オ】

 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者にやむを得ない理由がある場合、基本手当の全部又は一部を支給することができる。

 

 

A(アとイ) B(アとウ) C(イとエ) D(ウとオ) E(エとオ)

 

 

 

 

○【問6】=高年齢雇用継続給付に関する問題:

 

▶雇用保険の高年齢雇用継続給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和6年問6A】

 支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が、雇用保険法第17条第4項第1号に掲げる賃金日額の最低限度額(その額が同法第18条の規定により変更されたときは、その変更された額)の100分の80に相当する額を超えないとき、当該支給対象月について高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。

 

 

【令和6年問6B】

 就業促進手当(厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上であるものに限る。)を受けたときは、当該就業促進手当に加えて同一の就職につき高年齢再就職給付金を受けることができる。

 

 

【令和6年問6C】

 高年齢再就職給付金の受給資格者に対して再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、基本手当の日額の算定の基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の85に相当する額未満であるとき、当該受給資格者に対して支給される高年齢再就職給付金の額は、支給対象月に支払われた賃金の額の100分の15となる。

 

 

【令和6年問6D】

 厚生労働大臣が雇用保険法第61条第1項第2号に定める支給限度額を同法第61条第7項により変更したため高年齢雇用継続基本給付金を受給している者の支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額以上となった場合、変更後の支給限度額は当該変更から3か月間、変更前の支給限度額の額とみなされる。

 

 

【令和6年問6E】

 育児休業給付金の支給を受けて休業をした者は、当該育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月について、他の要件を満たす限り高年齢雇用継続基本給付金が支給される。

 

 

 

○【問7】=雇用調整助成金に関する問題:

 

▶雇用調整助成金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

【令和6年問7A】

対象被保険者を休業させることにより雇用調整助成金の支給を受けようとする事業主は、休業の実施に関する事項について、あらかじめ当該事業所の労働者の過半数で短織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者)との間に書面による協定をしなければならない。

 

 

【令和6年問7B】

 被保険者を出向させたことにより雇用調整助成金の支給を受けた事業主が当該出向の終了後6か月以内に当該被保険者を再度出向させるときは、当該事業主は、再度の出向に係る雇用調整助成金を受給することができない。

 

 

【令和6年問7C】

 出向先事業主が出向元事業主に係る出向対象被保険者を雇い入れる場合、当該出向先事業主の事業所の被保険者を出向させているときは、当該出向先事業主は、雇用調整助成金を受給することができない。

 

 

【令和6年問7D】

 対象被保険者を休業させることにより雇用調整助成金の支給を受けようとする事業主は、当該事業所の対象被保険者に係る休業等の実施の状況及び手当又は賃金の支払の状況を明らかにする書類を整備していなければならない。  

 

 

【令和6年問7E】

 事業主が景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされたことにより休業することを都道府県労働局長に届け出た場合、当該事業主は、届出の際に当該事業主が指定した日から起算して3年間雇用調整助成金を受けることができる。

 

 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

直近の改正事項

1 被保険者が  、厚生労働省令で定めるところにより出生時育児体業をし、当該被保険者が雇用保険法第61条の8に規定する出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が同一の子について3回以上の出生時育児体業をしたとき、  回目までの出生時育児体業について出生時育児体業給付金が支給される。また、同一の子について当該被保険者がした出生時育児休業ごとに、当該出生時育児休業を開始した日から当該出生時育児休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が  日に達した日後の出生時育児休業については、出生時育児休業給付金が支給されない。

 

 

2 被保険者が雇用されていた適用事業所が、激甚災害法第2条の規定による激甚災害の被害を受けたことにより、やむを得ず、事業を休止し、若しくは廃止したことによって離職を余儀なくされた者又は同法第25条第3項の規定により離職したものとみなされた者であって、職業に就くことが特に困難な地域として厚生労働大臣が指定する地域内に居住する者が、基本手当の所定給付日数を超えて受給することができる個別延長給付の日数は、雇用保険法第24条の2により  日(所定給付日数が雇用保険法第23条第1項第2号イ又は第3号イに該当する受給資格者である場合を除く。)を限度とする。

 

 

3 令和4年3月31日以降に就労していなかった者が、令和6年4月1日に65歳に達し、同年7月1日にX社に就職して1週当たり18時間勤務することとなった後、同年10月1日に季節的事業を営むY社に就職して1週当たり12時間勤務し2つの雇用関係を有するに至り、雇用保険法第37条の5第1項に基づく特例高年齢被保険者となることの申出をしていない場合、同年12月1日時点において当該者は  となる。

 

選択肢:

 

A ①―股被保険者であるときのみ ②一般被保険者又は高年齢被保険者であるとき ③一般被保険者又は短期雇用特例被保険者であるとき ④一般被保険者又は日雇労働被保険者であるとき

 

B ①1 ②2 ③3 ④4 

 

C ①14 ②21 ③28 ④30

 

D ①30 ②60 ③90 ④120

 

E ①一般被保険者 ②高年齢被保険者 ③雇用保険法の適用除外 ④短期雇用特例被保険者

 

 

 

 

 

選択式解答

A=②「一般被保険者又は高年齢被保険者であるとき」(第61条の8第1項第61条の7第1項かっこ書

 

B=②「2」(第61条の8第2項第1号

 

C=③「28」(第61条の8第2項第2号

 

D=④「120」(第24条の2第3項第2号

 

E=③「雇用保険法の適用除外」(第6条第1号第3号) 

 

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

問1(空欄のA~C。こちら)は、「出生時育児休業給付金」の支給要件等に関する出題です(本文は、こちら以下です)。

内容自体は、それほど難しくはないのですが、なにしろ出生時育児休業給付金は令和4年10月1日施行の新しい改正事項であり(昨年度から試験対象です)、昨年度は出題されていず、今回が初めての出題でしたので、「見慣れない問題」である(過去問がない)という違和感がありました。

この問1の空欄3つを正解できると楽になるのですが、どれかを間違えますと、空欄D(人によってはEも)が厄介なため、厳しいことになります。

 

1 空欄のA(こちら)は、出生時育児休業給付金の支給対象となる被保険者に関する出題です。

これについては、従来の育児休業給付金と同じであり、「一般被保険者又は高年齢被保険者」が対象となります(条文上は、育児休業給付金の第61条の7第1項かっこ書で定義されています)。

 

(出生時)育児休業給付金(広くは、育児休業等給付)の支給対象者が一般被保険者又は高年齢被保険者に限定される理由は、育児休業等給付が常用労働者を対象としているということにあります。

つまり、育児休業給付金は、もともとは、子の養育を行う被保険者の雇用の継続を目的としたものです(令和2年4月1日施行の改正の前は、育児休業給付金は雇用継続給付に位置づけられていました。増加する育児休業給付の収支を明確化するため、同改正により、同給付は失業等給付(雇用継続給付)から分離されましたが、現在でも雇用継続を図るという趣旨は変わりません)。

そこで、雇用の継続を前提としていない季節的労働(短期雇用特例被保険者)や日雇労働という雇用形態については、育児休業等給付の支給対象とされていないものです。

労働一般の育児介護休業法における育児休業の対象となる労働者から、「日々雇用される者」が原則として除外されている理由についても共通します(育児介護休業法第2条第1号かっこ書(労働一般のパスワード)労働一般のこちら)。

 

ただし、本試験会場では、特に択一式試験の場合、このような理由付けを思い出している時間的余裕はありません。

「雇用継続給付(高年齢雇用継続給付+介護休業給付)と育児休業等給付の支給対象者は一般被保険者又は高年齢被保険者に限定される」という結論を明確に記憶しておく必要があります。こちらの表などを日常的にチェックして脳裏に焼き付けておく必要があります。

本文は、こちらです。

 

 

2 空欄のB(こちら)は、出生時育児休業給付金の支給回数についての問題です。

 

出生時育児休業給付金が支給されるためには、被保険者が出生時育児休業について出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、同一の子に係る3回目以後の出生時育児休業でないこと、また、同一の子に係る出生時育児休業ごとの合算日数が28日に達した日後の出生時育児休業でないことが必要です(第61条の8第2項。本文はこちら以下)。

 

育児介護休業法上、出生時育児休業は、同一の子について、2回まで、合計28日までに限り取得することが認められています(ただし、期間雇用者の特例が適用される場合は、同一の子について3回以上の出生時育児休業の取得となることはあります。育休法第9条の2第2項労働一般のこちら)。

そこで、雇用保険法上も、出生時育児休業給付金は、同一の子について〔=空欄のB(こちら)〕回目まで、かつ、出生時育児休業ごとの合算日数が28〔=空欄のC〕日に達した日までの出生時育児休業を支給対象とすることとされたものです。

本文は、こちら以下です。 

 

以上の空欄B、Cについては、「直前対策講座」のこちら(直前対策講座のパスワード)のB、Cにおいてほぼ的中していました。

 

 

3 なお、令和7年4月1日施行の改正により、育児休業に関する給付に新たに2つの給付が追加されました。出生後休業支援給付と育児時短就業給付です。

これに伴い、「育児休業給付」が「育児休業給付」に代わりました。

こちらの体系図を参考です。

 

 

 

〔2〕問2

 

問2(空欄のD。こちら)は、個別延長給付の支給額(支給日数)の問題です。これはかなり厳しい問題でした。

こちらの図の(二)「激甚災害(大規模災害)に係る離職者であって就職困難地域の居住者」の問題です。

同図の(三)「激甚災害その他の災害に係る離職者」との区別は、(二)「政令で指定された災害」なのか、それとも(三)「厚生労働省令で定める災害」なのかですが、本問ではこの点については触れられていないため、 就職困難地域の居住者であるかどうかで判断します。

その結果、本問は(二)「激甚災害(大規模災害)に係る離職者であって就職困難地域の居住者」の問題であると判明し、空欄Dは、そのうち原則の場合ですから(かっこ書で例外の場合があるためです)、「120」日を限度とすることになります。

正答するのは、なかなかきついです。

 

ちなみに、当サイトの「直前対策講座」のこちら(直前対策講座のパスワード)の肢Bでは、原則である「90日」のケースを出題していました。

 

 

 

〔3〕問3

 

問3(空欄のE。こちら)は、2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者が特例高年齢被保険者に該当しない場合の被保険者性についての出題です。

 

まず、本問の者(以下、「当該者」といいます)は、X社においても、Y社においても、1週の所定労働時間が20時間未満ですから、適用除外者であり、雇用保険法の被保険者となりません(第6条第1号こちら)。

なお、この週所定労働時間の算定ですが、2以上の事業主の適用事業に雇用される者については、それぞれの適用事業(事業所)ごとに被保険者性を判断するものとされ、それぞれの週所定労働時間を合算することは認められていません(つまり、本問で、「X社18時間勤務、Y社12時間勤務、これらを合算して30時間であるため適用除外者でない」とはできません)。

 

他方、当該者は、

①2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であり、

②1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であり、

③2の事業主の適用事業おける1週間の所定労働時間の合計が20時間以上ですから、

申出以外の特例高年齢被保険者の要件は満たしています(こちら以下)。

 

ただ、当該者は、申出はしていませんから、上記の通り、週所定労働時間が20時間未満であるとして、適用除外者ということになります。

 

ちなみに、当該者は、季節的事業を営むY社で雇用されていますから、当該者が短期雇用特例被保険者にならないかですが、短期雇用特例被保険者は、季節的に雇用される被保険者であって、4箇月を超える期間を定めて(ないし期間を定めないで)雇用され、かつ、週所定労働時間が30時間以上である者です(こちら以下)。

当該者は、Y社において週所定労働時間が12時間ですから、短期雇用特例被保険者にも該当しません。

 

以上より、空欄のEは、③「雇用保険法の適用除外」となります。

本問は、適用除外者と短期雇用特例被保険者に関する知識が問われたものですが、特例高年齢被保険者の制度趣旨も関連します。

事例問題のため警戒態勢には入りつつも、そう難しい問題ではありません。

 

以上、雇用保険法は、なんとか3点は確保できそうですが、空欄Dは厳しいです。

平均点も、3.0点でした(前年度は、2.2点)。

 

 

 

 

総評

選択式は、通常の学習により基準点を上回ることは可能であったといえます。

ただし、数字についてしっかりと記憶していませんと、得点できない内容になっています。

他の科目についても同様ですが、特に雇用保険法では、数字をチェックしておく必要があります。

記憶したつもりでも、試験会場で思い出せないことがあります。思い出せるように反復学習を重ねるほか、ゴロ合わせなどによって脳裏に刻み付けておく必要があります。

 

選択式の問1(出生時育児休業給付金。こちら)は、近時の改正事項です。

来たる令和7年度の本試験においても、雇用保険法は、教育訓練等給付など、改正事項が多く、注意しておく必要があります。

 

 

一方、択一式は、【問2】、【問4】及び【問7】は厳しいです。

試験会場では、このような「厳しそうな設問」は適当に済ませ、その他の「得点可能な設問」を落とさないことが重要です。 

 

【問1】(こちら)は、肢のBやDは微妙なのですが、正解肢が明白であるため、正答すること自体は容易です。

 

【問2】(こちら)は、 被保険者期間を計算する事例問題です。

当サイトでも、このようなパターンの簡単な具体例をこちらで掲載していますが、この【問2】はやや込み入っており、色々な論点が思い浮かんできて時間を浪費する危険性があります。

このような択一式の事例問題が出題されたときは、問題文を一読して「厳しそう」と感じたときは、スルーして(ないし一応正解と感じる解答をマークして)すぐ次の設問に移行するのが良いでしょう。

ただし、この【問2】は、当サイトの解説を参考に、良く分析しておく必要があります。

 

【問3】(こちら)は、傷病手当に関する出題です。肢Cは、やや細かいですが、他は通常の学習によってカバーできます。

 

【問4】(こちら)は、資格喪失に関する諸問題です。

肢A(こちら)は、資格喪失届への離職証明書の添付の要否という典型問題であり、また、肢E(こちら)やB(こちら)も、正誤をイメージしやすいのですが、C(こちら)とD(こちら)のいずれが誤りなのかは、判断が難しいです。

C(こちら)は、施行規則上の添付書類の細かい箇所を問うものであり、正誤を想像することも厳しく、D(こちら)は、審査請求が可能となる処分についての出題であり、問題文がやや不親切なこともあって、判断が微妙です。

この【問4】は落としてもやむをえません(本試験会場では、このような設問に拘泥せずに、すぐに先に進むことが得策です)。 

 

【問5】(こちら)は、不正受給に関する出題です。

肢イ(こちら)とエ(こちら)の数字を押さえていたかがポイントです。

結果的には、組み合わせの関係で、正答することは可能でした。

 

【問6】(こちら)は、高年齢雇用継続給付に関する問題です。

通常の学習によりカバーできる内容です。

 

【問7】(こちら)は、雇用調整助成金に関する問題であり、厳しいです。

肢Aは、【令和元年問7A(こちら)】でも出題されており、その他の肢についても、山勘である程度正答に達することができる内容ではありますが、捨て問に近いです。

 

 

以上のように、択一式は、3問は正答が厳しく、頑張っても4問の正解しか望めないこととなります。徴収法を1問程度正解して、なんとか5問です。

平均点も3.9点であり、4点を割っています(今回最も平均点が低かった健康保険法(3.8点)の次に低いです)。昨年度は4.7点でしたから、大きく下回りました。

 

なお、今回は、例年よりは、行政手引を参照しないでも解答できる内容が多かったという印象はあります。

 

 

雇用保険法は、令和3年度辺りから、選択式で「嫌」な問題(事例問題含む)を見かけるようになり、今回も択一式で厳しい問題が多かったです。

労災保険法と併せて、合格のための大きな障害となっています。

ただし、通常の学習で正答できる問題は用意されていますので、まずは、地道に必要な知識を習得していくことが必要です。

短期間で簡単に結果が出るというようなことは、まずありませんが、徐々に知識が積み上がっていきますと、成績も安定してきます。

学習の際は、給付の支給要件と支給額を押さえ、特に数字に注意します。そして、過去問とその周辺の知識は確実にマスターすることが目標となります。